企業におけるChatGPT活用の実情とその課題の検証
NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した調査によると、企業の経営層の約4割が従業員のAIリテラシーが十分ではないと考えていることが分かりました。新たなAI技術であるChatGPTは、業務効率化や新しい価値を生み出す手段として多く利用されていますが、実際にはその安全な活用をめぐるルールの整備が遅れているのが現状です。
調査概要
2025年1月に行われたこの調査は、401人の経営層を対象に、業務にChatGPTを導入している企業の実態を探るものでした。調査期間中に集められたデータから、自社におけるChatGPTの使用状況やその導入理由、得られた効果と課題が明らかになりました。
ChatGPTの導入状況
調査を受けた企業の中で、ほとんどすべての業務でChatGPTを導入していると回答した企業はわずか15.4%でした。一方、導入している企業の大半は、数業務のみに利用していることが分かりました。また、ChatGPTを採用した主な理由としては、約71.1%が「業務効率化・生産性向上」を挙げています。このことから、企業は効率的な運営を目指してこの技術を導入していることがうかがえます。
導入の効果
効果については、約53.9%が「業務プロセスの効率化」があったと回答。また、29.9%は「従業員の生産性が向上した」、22.9%は「アイデアや発想力が向上した」という結果になりました。これにより、導入から得られる成果は期待されている一方で、ChatGPTの活用における問題点も浮かび上がりました。
課題とリスク
活用に当たっての問題として、最も多くの経営者が挙げたのは「情報漏洩のリスクなどセキュリティの問題」で、約36.9%が認識。また、出力情報の正確性や、その真偽を確認しない従業員が多いことが課題として浮かび上がりました。前回の調査でも、会社員が疑問視していた点が経営層にも課題として認識されていることが分かりました。
従業員のAIリテラシー
加えて、従業員のAIリテラシーに関しては、約60%の経営者が「高い」と認識している一方で、約40%は「高くない」との見解を示しました。そのため、社内における研修や学習意欲を促進する必要があるとされています。また、「年齢によるスキル格差」があるとの指摘もあり、これがAI活用の際の障壁となっている可能性があります。
ルールの必要性と整備状況
チャットボットを安全に活用するためには、ルールやガイドラインの整備が欠かせません。約90%の企業がその必要性を感じているものの、整備が実際に進んでいる企業はわずか20%に過ぎません。このため、企業は具体的な対応策を講じる必要があります。リーダーが責任の所在を明確にできない点や、法的な問題への対応が難しい状況が課題として浮かび上がってきています。
まとめ
今回の調査から、ChatGPTは業務効率化に寄与しているものの、セキュリティ面やルール整備、そして従業員のリテラシーに関する課題が残っていることが明らかになりました。今後は、これらの課題に対する適切な対策を講じつつ、AI技術をうまく活用する方策が求められるでしょう。企業の信頼性向上に寄与するためには、しっかりとしたルールの整備が不可欠です。