日立の新たな取り組み
株式会社日立製作所とその関連会社は、エレベーター用の永久磁石モーター巻上機のリサイクルシステムを新たに立ち上げ、2022年12月より運用を開始します。この取り組みは日立グループの新経営計画「Inspire 2027」のもと、サステナビリティ戦略である「PLEDGES」に基づいており、環境負荷を軽減しながらレアアースなどの資源を循環利用することを目指しています。
サーキュラーエコノミーの推進
日立製エレベーターのリニューアル工事において交換されるモーターを回収し、再利用に繋げる仕組みを構築しました。これは、リサイクルの推進が求められる大型産業用モーターの再利用機会を拡大するものであり、特に1999年以降に製造されたエレベーターの巻上機が該当します。このモーターは、エレベーターのみならず、電動車や発電機、家電など多岐にわたって利用されており、需要の拡大が見込まれています。
リサイクルの具体的な流れ
今回のリサイクル網では、日立ビルシステムがリニューアル工事で回収したモーターから部品を取り外し、日立と日和サービスがそのモーターを分解し、減磁処理を施します。このプロセスによって取り出された磁石は専門メーカーで再資源化され、さらに銅線や鉄の部材も分離して再資源化されます。
年間で見込まれるリサイクル処理は、初年度には80トン程度、今後リニューアルの増加に伴い年間650トンに達する予測です。更に、日立グループ内の他の産業用モーターも対象に加えることで、資源の循環を加速し、持続可能な成長に貢献します。
回収と分解の効率化
日立ビルシステムでは、リサイクルの効率を高めるために、製造現場のノウハウを活用しています。熟練技術者による迅速な分解が行われ、エレベーターの巻上機に使われている複雑な部品も迅速に処理されるアプローチが取られています。また、リサイクル時の運輸も効率化されており、サプライチェーンの戻り便を利用することで環境への負担を減少させています。
先進技術の導入
日立は、CIセクターにおいてデジタル技術を駆使した新たなリサイクル技術革新を図っています。また、日和サービスがレアアース含有製品のリサイクルに精通した技術を持ち、これをリサイクルプロセスに統合します。これにより、より効率的かつ持続可能な資源回収が実現されるのです。
グローバルに展開する日立は、未来に向けて環境、経済、幸福の調和を目指しており、この取り組みはその一環です。日立のサステナビリティ戦略は、持続可能な成長と環境保全の両立を志向し、次世代にわたる価値ある社会の実現を目指しています。