ポルトガルのおばあちゃんが刺繍で織り成す社会貢献プロジェクト
ポルトガルの高齢者が持つ技術を活かした「A Avó Veio Trabalhar」プロジェクトが、2025年に日本でのツアーを予定しています。このプロジェクトは、在日ポルトガル大使館の後援のもと、株式会社宿場JAPANがメインスポンサーとなっています。プロジェクトの目標は、高齢者の活躍を促し、持続可能な社会の実現を目指すこと。特に、刺繍を通じたコミュニティの形成が大きなテーマとなっています。
このプロジェクトの核心は、年齢に関係なく、誰もが社会に貢献できるという認識を持つことです。プロジェクトの創設者であるスザナ・アントニオさんとアンジェロ・カンポッタさんは、高齢者がクリエイティブな分野から置き去りにされている現状に疑問を抱きました。その結果、刺繍を通して若者と高齢者が交わり、互いにエンパワーメントできる機会を創出しました。
プロジェクトの内容と交流
「A Avó Veio Trabalhar」では、ポルトガルのおばあちゃんたちが集まり、リスボンのスタジオで刺繍を楽しみながら会話を交わします。このプロジェクトの日本ツアーでは、長崎や福岡、東京を訪れ、ワークショップを行う計画です。おばあちゃんたちとの実際の交流を通じて、日本とポルトガルの文化を繋ぎ、より良い未来に向けた架け橋となることが期待されています。
このような高齢者の社会参加を促進する試みは、実際に刺繍を通じてアートを楽しむだけでなく、対話を通じた心の交流も重要です。年齢を重ねることは新しい可能性を広げる貴重な体験であり、このメッセージを広めることがプロジェクトの目的でもあります。
刺繍という文化の背景
ポルトガルの刺繍には数世紀にわたる歴史があり、文化的な遺産でもあります。しかし、1970年代のサラザール独裁政権時代には、女性が家庭に閉じ込められるなどの負の歴史がありました。その中で、刺繍は高齢女性の技術として受け継がれてきました。今日、ポルトガルでも高齢者の孤立化が問題となっており、その解決に向けた意義深いプロジェクトとして注目されています。
リスボンやアレンテージョ地方の行政とも連携し、刺繍キットを提供するなどの取り組みも行われています。これにより、刺繍作品の買い取りも行い、経済的な支援が行われる仕組みが作られています。
日本との連携
導入される「日本ツアー2025」では、スザナ・アントニオさん、アンジェロ・カンポッタさんを含む、3人のおばあちゃんたちが来日し、各地でワークショップやトークイベントが予定されています。旅行業者や地元の協力者たちと連携し、地域文化の発信と高齢者の社会参加の機会を提供します。
宿場JAPANは、宿泊や交通の手配を通じてプロジェクトのサポートを行い、一般に開かれた交流の場を設けます。また、各種メディアにも取り上げられることで、プロジェクトの知名度向上にも貢献しようとしています。2025年には、このプロジェクトを通じて、日本とポルトガルの草の根的文化交流が進むことが期待されます。
メッセージの伝達
プロジェクトの日本窓口を務める水谷幸男氏は、年齢を重ねることの魅力を訴えています。単に高齢者の活躍を促進するだけでなく、個々の存在価値を認識することが、持続可能な社会の礎になると考えています。このメッセージは、高齢化が進む日本社会において特に重要な意味を持つものです。
このプロジェクトを通じて、ポルトガルの高齢者の知恵と技術が日本で生かされ、相互理解が深まる機会が増えることを期待しています。今後の展開に注目していきたいと思います。