高知市のDX推進に向けた新しい取り組み
高知県高知市は、現場主導のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するため、RPAツール「BizRobo!」を導入しました。この取り組みは、市民サービスの向上と業務効率化を目指しており、2024年度には「DX推進課」を立ち上げ、全職員の約173名をDX推進員として採用。そのメンバーが中心となり、小さな成功を積み重ね、大規模な展開に進む道筋が整えられています。
パフォーマンスの向上とペーパーレス化
高知市役所では、人口約31万人、職員数約4,500人を抱え、日々の業務改善に取り組んでいます。2020年から導入されたRPAが新型コロナ関連の事務処理において一定の成果を上げたことから、さらなる業務効率化を図るため、BizRobo!のライセンスを並行して増強しました。最初は「BizRobo! mini(ガバメントライセンス)」を導入し、2022年度からはサーバ型ツール「BizRobo! Basic」に転換。職員に向けた研修も実施し、業務自動化のスキルを向上させているのです。
現場主導の内製開発
現在、高知市では人事や財政など15課にわたる28業務でBizRobo!が稼働しています。RPAを利用する業務選定の際は、自動処理による成果が期待できる業務を重点的に選出する方針を採用しています。各課の業務プロセスを見直すBPR(Business Process Re-engineering)も意識し、手作業をただ単に自動化するのではなく、業務そのものを革新することを目指しています。
例えば、人事課では研修対象者への通知をロボット自動送信メールに切り替えた結果、作業効率を大幅に改善し、従来の最大3日かかっていた通知作成をたった100分にまで短縮しました。また、防災政策課では、従来の紙の辞令書をPDF形式に変更し、自動送信を導入することで、業務にかかる時間外勤務を半減させることに成功しました。
職員の意識改革とデジタル化の加速
このように高知市では、RPAの導入を通じて業務効率化が進むだけでなく、その結果として職員のデジタル化への関心も高まってきています。業務改善を感じる声が数多く上がり、特に「紙台帳の運用」や「Excelシート間の転記作業」といった課題に対しては、すでに214件のリクエストが寄せられています。このような職場環境がデジタル化の一端を担い、今後の展望も明るくなっています。
高知市のDX推進は、デジタル化を促進する新しいケーススタディーとして注目されています。オープン株式会社も、高知市に対しRPAやAIを活用した各種サポートを提供し、地域の業務自動化や効率化を図るべく、実績を重ねていく計画が進行中です。
今後の展望
高知市では更なるデジタルツールの活用を考え、職員のスキルアップとRPA開発の担い手を育成する方針を持っています。DX推進課の活動が順調に進むことで、地域全体のデジタルシフトが加速することを期待しています。このように、RPAツールの導入がもたらす変革は、業務効率化のみに留まらず、組織全体の意識も変える重要な鍵となるでしょう。今後の高知市のDX推進から目が離せません。