国登録有形文化財『三岸家住宅アトリエ』の新たな試み、建築的特徴の現代的復活

三岸家住宅アトリエの大規模改修工事

東京都中野区に位置する国登録有形文化財『三岸家住宅アトリエ』が、現在大規模な改修工事を進めている。2024年7月に改修に着手し、10月28日にはメディア向けに改修プランの発表会を開催する。このアトリエは、1934年に設計された建築家・山脇巌による作品で、モダニズム建築の貴重な実例として評価されている。画家・三岸好太郎とその妻・節子の住居兼アトリエとして知られ、多くの芸術活動の舞台となった。

バウハウスの影響

三岸家住宅アトリエは、ドイツのバウハウスで学んだ設計者の理念が色濃く反映されている。平明な直方体の外観には大きな窓が開けられ、内部は二層吹抜けのアトリエと螺旋階段によって構成されている。この独特なデザインは、当時の建築界において異彩を放っており、戦前の木造モダニズム建築の貴重な遺産として現在も多くの人に愛されている。

改修プランの詳細

改修プランの発表会では、建築的特徴を現代の視点から復活させるための試みについて詳しく紹介される。これは単なる保存ではなく、未来に向けた進化を目指した取り組みである。老朽化が進む近代建築をどのように保存し、活用していくかという問いに対する答えを示すことを目的としている。

文化財としての価値

三岸家住宅アトリエは、築100年を迎えようとしているタイミングでの大規模改修は、重要な文化財としての役割を果たし続けることを意味している。現存する戦前のモダニズム建築は数少なく、特にこのアトリエは「生活と芸術が一体となった住空間」として非常に稀少である。したがって、未来のためにこの貴重な資産を守ることが求められている。

東京都文化財ウィークとの連携

さらに、10月25日から11月3日までの「東京文化財ウィーク」に合わせて、アトリエは一般公開される。発表会の特別公開日である10月28日は、報道関係者のみが参加できる日とされており、一般向けの発表は翌日の10月29日に行われる予定だ。

未来への新たなチャレンジ

今回の改修は、文化財保存の新たな試みとして注目を集めている。単なる静態保存から動態保存へと移行する中で、多様な文化財と共生する未来を探る実験的なプロジェクトが進行中である。株式会社キーマンは、これまでの30年以上にわたる経験を生かし、耐震補強や文化財の保存・継承にも取り組み、地域の価値を高める活動を続けている。