概要
近年、若手社員の離職を防ぐために、企業がどのように支援を行っているのかは重要なテーマです。ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が実施した調査によると、若手社員の成長実感やキャリア志向に対する企業の支援の効果が明らかになりました。特に、企業からの支援が感じられる若手社員ほど、今の職場で働き続けたい意向が強いことがわかりました。
調査の背景
若手社員の早期離職は多くの企業が直面する課題で、彼らが職場に対して抱える不安感や期待感が重要なキー要素となります。企業がキャリアを自律的に築くための支援を行うことが求められています。しかし、残念ながらキャリアビジョンが定まらない若手社員も多く、支援の重要性はますます高まっています。
調査結果の要点
1. 成長実感の低下傾向
調査では、任された業務が成長につながっていると感じる若手社員の割合が、社会人1年目は64.8%、4年目では50%以下に減少していることがわかりました。このことから、多くの若手社員がキャリアの初期段階では成長を実感しやすいものの、経験を積むにつれてその感覚が薄れることが示されました。
2. 新たな業務への挑戦
新しい業務を任される実感についても、社会人1年目の63.9%に対し、4年目には51.1%にまで低下しました。このことは、若手社員が業務のマンネリ化を感じていることを示し、成長の機会が減少していることに対する懸念を引き起こします。
3. キャリア志向の未定化
将来のキャリアに対する意識調査では、社会人4年目社員の約半数が「未定」や「志向無し」と回答しており、キャリアプランに迷いが見える結果となりました。一方、若手社員の中には管理職や専門職を目指す意欲も見られるものの、明確なキャリアビジョンを持てていない状況が浮き彫りになりました。
4. キャリア形成支援の影響
上司からキャリア形成の支援を受けている若手社員は、管理職や専門職を目指す比率が高くなる傾向があり、逆に支援を感じない社員はそれらの志向が低下しました。この結果は、上司の適切な支援がキャリア志向に強い影響を与えることを示しています。
5. 勤続意向と支援の関連性
最後に、企業からのキャリア形成支援の実感が、勤続意向に大きく影響していることがわかりました。支援を感じている若手社員の87.6%は今の職場で働き続けたいと回答したのに対し、支援を感じていない社員では、78%が離職意向を示す結果となりました。
まとめ
若手社員が職場で成長を実感し、将来のキャリアプランに自信を持てる環境を整えることは、企業の責任と言えます。調査結果からは、業務による成長感が薄れる原因として任される業務のマンネリ化、支援を受けない状況が浮き上がってきました。
今後は、企業が若手社員に対して「働き続けることによる価値」を明確に示し、期待感を高める取り組みが求められます。これにより、若手社員の定着だけでなく、成長促進にもつながるでしょう。具体的には、上司からの期待の伝達や柔軟な働き方への対応が重要となります。
今後も企業は、若手社員の成長を助けるための新たな機会を創出し、その成果を引き出す環境作りを進めていく必要があります。