サンシャイン水族館に息づく絶滅危惧種の希望
東京・池袋にあるサンシャイン水族館では、特別展「真夜中のいきもの展」が開催中です。この展覧会では、主に夜行性の生き物が取り上げられていますが、その中でも特に注目を集めているのが、「スライゴオオサンショウウオ」です。
スライゴオオサンショウウオとは?
「スライゴオオサンショウウオ」は、世界で生存が確認されている個体がわずか2体しかいない非常に希少な両生類です。150cmを超えることもあるこの生き物は、すべての両生類の中で最も大きいとされています。特に驚くべきは、飼育下で50~60年の長寿命を持っている点です。しかし、現在のところその生態や特徴については多くが解明されていません。
サンシャイン水族館は1999年にチュウゴクオオサンショウウオとして受け入れた個体が、2024年に京都大学の研究によって実はスライゴオオサンショウウオであることが明らかになりました。これは、この種が中国では既に絶滅したとされていたことから、非常に重要な発見と言えます。
外来種としての立場と未来への可能性
外来種であるチュウゴクオオサンショウウオが日本の在来種と交雑し、厄介者として認知される一方で、このスライゴオオサンショウウオの発見は、絶滅動物種のクローン技術を用いての復活に向けた新しい可能性を示唆しています。西日本では、外来種が在来種と交雑して生態系への影響が懸念されていますが、スライゴオオサンショウウオはその中で一種の「救世主」になり得るかもしれません。
京都大学西川教授の見解
西川完途教授は、オオサンショウウオの研究の第一人者であり、スライゴオオサンショウウオの発見において重要な役割を果たしました。彼は、外来のオオサンショウウオが日本の生物多様性に与える影響について深い理解を持っています。西川教授によると、現代の遺伝子技術を使って絶滅種の保全を図ることは、今後の研究において極めて有効であると考えています。
「このスライゴオオサンショウウオは、日本にとっても他国にとっても非常に重要な存在です」と彼は語ります。「未来には絶滅したと思われた種を復活させる可能性があると信じています」
来館者へのメッセージ
サンシャイン水族館の飼育スタッフ、上市光之さんは、スライゴオオサンショウウオの飼育が特別なものであると強調します。「確かに外来種は悪者扱いされることが多いですが、日本の都会で長年飼育されてきたこの希少種をぜひ観察してほしい」と述べています。大切にケアされているこの生物は、私たちに生物多様性について考えさせてくれる存在でもあります。
特別展情報
真夜中のいきもの展は、11月24日までサンシャイン水族館で開催されています。入館料は通常600円からで、オリジナルの蓄光ステッカー付き入場券は800円です。生態について学びながら、スライゴオオサンショウウオの希少性を実感してほしいと思います。