美容医療の未来を考える - 合併症外来が示す倫理の重要性とは
美容医療は、日々進化を遂げる分野であり、さらなる発展が期待されていますが、一方で施術によるトラブルや合併症のリスクも無視できません。そんな中、合併症外来の意義が大きく取り上げられています。2025年5月29日に開催された日本美容外科学会では、ザ・プラス美容外科の犬飼麻妃医師が『美容医療における大学病院の役割〜安全な美容診療の実現に必要なこと』をテーマに発表し、合併症外来における専門的な取り組みを紹介しました。
合併症外来設立の背景
犬飼医師は、2023年から藤田医科大学ばんたね病院内に合併症外来を立ち上げ、美容医療に起因する様々な問題に取り組んでいます。最近、美容施術が身近になるにつれて、選択の誤りや説明不足による問題が増加しています。患者が適切な治療を受けるための相談窓口がないことも多いため、この新たな外来が必要とされるようになったのです。
そんな合併症外来では、緊急時にも対応可能な体制を整え、トラブルを抱える患者が安心して相談できる場を提供しています。美容医療本来の目的、すなわち人々の生活の質を向上させる手段であるべき医療分野を支える重要な役割を担っています。
医師が伝えたい3つのメッセージ
1.
自分が受ける施術の正しい知識を身につける
患者が合併症外来を受診した際、意外にも「何の薬剤を使用したか分からない」と語る方が増えています。特にアクアフィリング豊胸は、多くの患者が安全と信じ込んで施術を受けた結果、トラブルに見舞われています。
医療情報は便利ですが、偏った情報にも注意が必要です。基本的な施術内容やリスクについて認知し、しっかりと医師とコミュニケーションを図ることが求められます。
2.
失敗しない医師の選び方
現在、医師の経歴は誰でも調べることができる時代です。情報を公開していない医師や、施術数が限られている場合は注意が必要です。多様な施術手技を持つ医師に出会うことで、患者一人ひとりのニーズに応えてくれる可能性が高まります。
3.
複数院でカウンセリングや診察を受けることの重要性
治療に迷った際は、複数のクリニックでのカウンセリングを推奨します。何度も相談を重ねて情報を比較することで、自身に合った信頼できる医師や治療法を見つける助けになります。焦らず、自分のペースで選択することが大切です。
美容医療に求められる教育と倫理観
美容医療を根底から支えるのは、高い倫理観を持つ医師です。現在、美容医療へのニーズが急増している中、十分な研修を受けない医師も増えており、倫理的な問題やトラブルが現実のものとなっています。
ザ・プラス美容外科は、藤田医科大学形成外科と協力し、定期的にハンズオンセミナーを開催して、責任ある医療人材を育成する取り組みを行っています。このような教育が整うことで、美容医療全体の質向上が期待されます。
まとめ
ザ・プラス美容外科は、患者が安心して施術を受けられる環境を整えつつ、万が一のトラブルにもしっかり向き合う体制を築いています。医療の未来を見据えた取り組みが、安全な美容医療の実現へと繋がることを期待しています。