IAが導く次世代のビール体験
近年、東京を含む都市部ではクラフトビールの人気が急上昇しています。そんな中、三重県伊勢市に拠点を持つ古くからのクラフトビールメーカー「ISEKADO」が、株式会社レボーンの最新技術を導入しました。その名もAI嗅覚センサー「Obre(オブレ)」です。この技術の導入により、ISEKADOのビールの香りを可視化するという、まさに世界初の試みが実現しました。
嗅覚の未開拓領域
私たちの生活に寄り添う嗅覚は、視覚や聴覚と同じようにデジタルに記録・再現されることが期待されていましたが、未だに「科学の空白地帯」とされています。1950年代からの研究が続き、2000年代には嗅覚受容体の仕組みが明らかになったものの、「なぜ匂いを認識できるのか?」という問いには、未だ解がありません。だからこそ、レボーンが開発した「Obre」は注目されています。これは、特許技術を用いてナノグラム感度でにおいを分析するもので、データを可視化し「嗅覚のデジタル化」を実現しているのです。
70種のビールを解析
ISEKADOでは、Obreを使って合計70種のビールを測定しました。この試験により、香りの違いをセンサーデータとして識別できることが分かりました。特に香りは、消費者がブランドを認識する重要な要素であり、これを定量データとして資産化することで、ブランドの価値を維持し続けられるのです。
「香りに基づく麦酒マップ」
Obreでの測定結果をもとに、ISEKADOは「香りに基づく麦酒マップ」を作成します。これにより、消費者は自分好みの香りをグラフで視覚的に把握できるようになります。例えば、柑橘系やハーバルな香りのビールどうしを比較したり、新商品との違いを体感したりすることが可能です。このマップは、プロモーションやSNSでの情報発信にも活用され、リアルな体験を提供します。
新たなマーケティング手法の期待
ISEKADOがこの新技術を導入することで、消費者とのコミュニケーションがよりダイレクトかつ効果的になります。具体的には、香りの違いを視覚化することで、プロモーション戦略を刷新し、より多くの消費者にその魅力を伝えることができるようになります。また、将来的にはクラフトビール業界全体への技術普及を目指しているとのことで、伊勢から世界へとその魅力を広めていく姿勢は頼もしい限りです。
まとめ
ISEKADOとレボーンのコラボレーションによるAI嗅覚センサー「Obre」の導入は、クラフトビールの新たな可能性を切り開くものです。この新技術が、消費者にどのような体験をもたらすのか、今後の展開にも大いに期待が寄せられます。皆さんも、ぜひこの新しい「香りのビール体験」を味わってみてはいかがでしょうか。