名古屋市におけるAWSコスト削減の成功事例
名古屋市が、AWSコスト管理ツール「srest(スレスト)」を導入し、業務効率化とコスト削減に成功した事例が話題を呼んでいます。この取り組みは、全国の自治体にとってのモデルケースとしての役割も果たすことが期待されています。
導入の背景
名古屋市では、2022年に策定した「名古屋市役所DX推進方針」に基づき、先駆的にAWSを使用したガバメントクラウド環境への移行を進めてきました。各業務システムを独立したAWSアカウントで運用する「単独利用方式」を採用し、柔軟性と強固なガバナンスを両立させていますが、一方でコスト把握や費用按分に課題がありました。
そこで名古屋市は2025年3月に、ガバメントクラウド環境でのFinOps実践を目指し、「srest」の実証実験を実施しました。この実験では、複数アカウントの請求情報を自動で収集・可視化し、業務や会計単位での費用配賦が行えることが確認され、短期間でその効果が証明されました。6月には本格導入が決定されました。
導入による効果
「srest」は直感的に操作できるUI/UXを持ち、カーソルを合わせるだけで詳細なコスト内訳が表示されます。このため、AWSについての専門知識がなくても、自治体職員は自身のシステムのコスト構造を把握できるようになりました。
業務の効率化
導入以前は、PDF形式の請求データをExcelで手作業で集計し、複数の会計にわたる費用を毎月按分していましたが、「srest」のコストアロケーション機能により、業務に応じた効率的な費用按分が実現しました。この結果、作業工数の削減がなされ、各システム担当課が自らのコストを把握しやすくなり、説明責任感や当事者意識が芽生えました。
無駄なコスト削減
各業務システムのコスト構造を明確化したことで、例えばサーバー料金に比べて監視サービス料金が高騰していることに気づき、無駄な支出を削減することに成功しました。
「srest」について
「srest(スレスト)」は、複数のAWSアカウントのコストデータを統合し、継続的なコスト最適化を支援するAWSコスト管理ツールです。部門やシステム単位での詳細なコスト分析が可能で、直感的なダッシュボードを用いることで、企業全体のクラウドコストに対する透明性を高めることができます。また、AWSが実施する技術レビュー「AWS Foundational Technical Review」を通過し、AWS認定ソフトウェアにも指定されています。
まとめ
名古屋市の取り組みは、今後の自治体におけるFinOps推進の重要なモデルケースとなるでしょう。経済のデジタル化が進む中、各自治体もこのような戦略を取り入れていく必要があります。『srest』を通じて、名古屋市がどのようにしてコスト管理と効率化を実現したのか、その進展に注目が集まります。
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