映画『ドールハウス』の特別上映、そしてトークショー
2023年11月19日(水)、映画『ドールハウス』のBlu-ray&DVDがいよいよ発売されます。このリリースを祝って、11月17日(月)から26日(水)まで、東京・池袋の新文芸坐にて特別企画「矢口史靖の呼吸」が開催されています。ここでは、矢口監督の初期の名作や代表作、そして『ドールハウス』に至る道のりを辿る珠玉の5本が一挙上映されています。
特に目を引くのは、11月23日(日)に行われる、元々『ドールハウス』のプロデューサーでもある遠藤学氏を聞き手として、矢口監督自身によるトークショーとサイン会が開催される点です。ここには多くのファンが集まり、矢口監督との貴重な交流が期待されます。
矢口監督のトークショーの内容
トークショーでは、矢口監督が冒頭で「今日は楽しい話…いや、怖い話をしに来ました。よろしくお願いします」と語り始めます。『ドールハウス』の前には『スウィングガールズ』が上映され、観客の中でも両方の作品を楽しんでいる方が多かったことから、「今、精神がぐちゃぐちゃになっていないか心配です」と冗談交じりに話されました。
監督は『ドールハウス』のストーリーの着想についても言及しました。興味深いのは、当初のプロットが「カタギリ」という架空の脚本家名義で提出されたという点です。この方針には、監督自身の過去の作品への先入観を避ける狙いがあったと明かされました。最終的に明かされた際には、彼は「実は…僕が書きました」と告白し、会場は笑いに包まれました。
怖さと魅力のバランス
『ドールハウス』は監督にとって初めて本格的なホラー作品となりますが、これには過去のテレビドラマでの経験が生かされています。
矢口監督は「ハリウッド映画と日本のホラーでは恐怖の感じ方が根本的に異なる」とし、観客が恐怖を体感する方法に独自のアプローチを取っていることを説明しました。また、主人公を見守る「アヤ人形」のデザインにもこだわりが垣間見え、作品全体にリアリティと恐怖感を与える要素が盛り込まれています。
海外での評価と今後の展望
第45回ポルト国際映画祭でのグランプリ受賞について、矢口監督は「海外のお客さんが思いの外、“ギャー!”と叫んだりして驚いた反応が多かった」と振り返ります。日本では静かに鑑賞するのが一般的ですが、海外では作品を全身で楽しむ人々が多いのだと感じたそうです。
さらに、Blu-ray&DVD快適版では、特典映像も充実していて、「生き人形は実在する」という江戸時代からの人形文化を解説したドキュメンタリーも収録されています。鮮やかに冒険する『ドールハウス』の魅力を再確認できる機会です。
トークショーの最後には、客席からの質問に答えるQ&Aコーナーもあり、監督と観客の交流が深まった様子が伺えました。特に、『ドールハウス』のプロット制作についての質問には、詳細な説明がなされ、観客たちはその深遠さに感心の声を上げていました。
じっくりとした心の準備が必要な『ドールハウス』ですが、そのストーリーには必ず何かしらの深い感動が隠されています。この機会にぜひ、劇場での特別上映、そしてBlu-ray・DVDでの視聴をおすすめします。これからも矢口史靖監督の新たな挑戦に期待が高まります。