5G通信による食品ロス削減を目指す新技術
日本では毎年約500万トンもの食品が廃棄されています。そのうち、事業系の食品ロスは約50%を占めており、農林水産省はこの問題を解消するため、2030年度までに事業系食品ロスを2000年度比で半減させる目標を設定しています。とはいえ、廃棄判断の難しさが課題となっています。
多くの企業が鮮度を判断するために独自の経験則や方針に頼っていますが、その方法では十分な食材を廃棄してしまうリスクがあります。そこで、Milk.株式会社は5G通信を活用した食品の鮮度測定システムを開発しました。このシステムはハイパースペクトルカメラを使用して鮮度を客観的に判定することを目指しています。
実証実験の概要
この度、Milk.株式会社は東京都の支援のもと、国内の大手回転寿司チェーンとの連携により、鮮度測定システムの実証実験を実施しました。この実験では、自社開発の分光計測システム「IRODORI」を使用し、食品の鮮度をデータとして測定します。
鮮度測定の手法
「IRODORI」による測定では、食品を撮影し、そのデータを5G通信を使ってクラウドに送信します。クラウド上でデータを解析し、迅速に鮮度が判定され、その結果はインターネットに接続されたPCで確認できます。このシステムにより、その場で鮮度を確認し、無駄な廃棄を防ぐことが可能となるのです。
目指す未来
Milk.株式会社は今後も実証実験の結果を基に、さらなる技術的課題を洗い出し、食品の鮮度測定システムの実用化に向けて努力していきます。この取り組みにより、食品ロスの削減だけでなく、安全かつ新鮮な食材を消費者に届ける社会を実現することを目指します。
各関係者の役割
この実証実験には多くの企業が協力しています。Milk.株式会社は鮮度管理システムの開発や実証実験の計画策定を担当し、国内の回転寿司チェーンは実験場所や食品を提供しています。また、株式会社マグナ・ワイヤレスは5G技術の提供や実証実験の支援を行っています。
5G技術活用型開発等促進事業
東京都はスタートアップ企業が新たなビジネスを生み出すための「5G技術活用型開発等促進事業」を推進しています。このプロジェクトを通じて、企業は資金面や技術面からサポートを受け、新しいサービスや製品を社会に提供できるようになるのです。
Milk.株式会社の概要
Milk.株式会社は、宇宙技術を応用したハイパースペクトルカメラを開発するスタートアップです。代表の中矢大輝は、元JAXAエンジニアから技術を継承し、2019年に会社を設立しました。彼らはハードウェアとソフトウェアを一体に開発し、研究活動を行っており、この新しい技術が食品ロス削減に貢献することが期待されています。
公式ウェブサイトは
こちら。
本取り組みを通じて、私たちが住む社会がより持続可能な方向に進むことを願っています。