大幅に変化する資産運用におけるデジタル顧客満足度
米国の消費者インサイト専門機関J.D.パワーが発表した、2024年の「米国個人資産運用デジタル・エクスペリエンス顧客満足度調査」に注目が集まっています。この調査は、個人投資家のデジタルチャネルに対する期待の変化や、各資産運用会社の提供するデジタル体験の質を評価したものです。
調査の背景と目的
今回の調査は、フルサービス型および自己決定型の個人投資家を対象に、モバイルアプリとウェブサイトを含むデジタルチャネルへの満足度を測定しています。顧客体験は取引や商品にとどまらず、パーソナライズ化されたアプローチへの期待が高まってきていることが浮き彫りになっています。顧客が求めるのは、単なる情報提供に留まらず、個々の財務目標の達成を助けるためのパーソナライズされたガイダンスです。
調査結果の要点
基本的なデジタル機能を超える期待
調査によれば、フルサービス型のモバイルアプリでは70%、ウェブサイトでは75%の顧客が洗練された印象を持っています。しかし、ユーザーが求める価値ある体験を提供しているのはわずか18%にとどまっています。顧客満足度を上げるためには、より一層高度なガイダンスが必要です。
顧客のニーズは日々多様化
自己決定型の顧客の44%が、資産運用会社が自身の財務目標を達成するためのサポートを期待しています。この数字は昨年の40%から増加しており、顧客のニーズにまだ十分に応えていない企業が多いことが示されています。パーソナライズされていないという不満が、変化を求める顧客層に生まれているのです。
デジタル体験の重要性
顧客が求めるのは、必要な情報が簡単に得られる体験です。調査によれば、顧客が標準的な体験を超えた場合、総合満足度は大幅に向上することが分かっています。また、安全性に対する顧客の信頼も重要なファクターとなっており、個人情報の安全性が不安視されると、総合満足度は急激に低下し、147ポイントの差が見られることも確認されています。
株式・債券市場の動向への影響
J.D. パワーのエグゼクティブ・ディレクターであるクレイグ・マーティン氏は、現在の市場環境における競争が激化している中で個別のニーズに応えることの重要性を強調しています。特に、先進的な企業はパーソナライズ化された体験を提供し、顧客の期待に応える努力が求められています。
顧客満足度ランキング
フルサービス型部門では、J.P.モルガン・ウェルス・マネジメントが843ポイントで首位を獲得しました。一方、自己決定型部門でもJ.P.モルガンが783ポイントで今までの顧客満足度の評価を維持しており、競争が激しい市場においてその地位を示しました。
まとめ
デジタルチャネルの重要性が高まる中、顧客が求めるのは単なる機能ではなく、パーソナライズされたサポートです。資産運用会社はこの変化にいち早く対応し、顧客との信頼関係を築くことが求められています。本調査の結果は、今後の資産運用業界における戦略の方向性を示唆するものといえるでしょう。