アジア太平洋地域のホテル投資の明るい未来
国際不動産サービス大手のJLLが発表した最新の分析レポートによると、アジア太平洋地域のホテル投資市場は、2026年に約133億米ドルに達する見込みです。これは、2025年の予測値119億米ドルを上回る成長を示しています。世界経済の不安定さや様々なリスク要因にもかかわらず、この分野は堅調な成長を維持しているというのがJLLの見解です。
投資環境の変化とその影響
JLLのレポートでは、現在の市場における興味深い動向を指摘しています。買い手の需要は依然として高い一方で、取得可能な物件の供給は限られており、安定した投資先として評価される地域ではプレミアがつく傾向が見られています。その反面、新興市場においては相対的に割安な投資機会が存在し、多くの投資家が関心を寄せています。
このような状況の中で、特に日本やシンガポール、オーストラリアといった地域が引き続き注目を集めています。特に個人投資家からの需要が顕著で、象徴的な投資物件を求める動きが強まっています。
マクロ経済の影響と観光トレンド
JLLホテルズ&ホスピタリティグループ アジアパシフィックのCEO、ニハット・エーカンは、観光トレンドや投資判断への影響について触れています。「難しい経済状況と地政学的な不透明感が影響を与えていますが、アジア太平洋地域ではホテル投資市場が成熟化しており、長期的な資産価値が観光需要に支えられています」とコメントしています。この言葉からも、アジア太平洋地域のホテル投資市場が単なる数字の上だけではない、確固たる基盤を持っていることがわかります。
国連世界観光機関(UN Tourism)によると、2025年には外国人旅行者数が前年比で3-5%増加する見込みで、アジア太平洋地域においてもその影響は大きいとされています。今年上半期には外国人旅行者数が前年同期比で11%増加し、コロナ禍前の水準の92%に達しました。特に日本やベトナムは、20%を超える回復率を示し、観光地としての魅力を改めて実証しました。
安定した収益指標と投資戦略
2025年8月の時点で、アジア太平洋地域のホテル業界のRevPAR(販売可能客室数1日あたりの売上)が3%増と好調であることも、投資の安定性を裏付けています。日本、オーストラリア、大中華圏、シンガポール、韓国といった主要市場は、引き続き機関投資家の注目を浴びており、流動性も保たれています。
「経済の不透明さや市場変動は依然として課題ですが、アジア太平洋地域の特性が成長を支えていることは揺るぎありません」とエーカンは述べています。この言葉からも、地域特有の中間層の拡大や観光インフラの整備が、今後の投資先としての魅力を一層高める要因であると言えます。
日本市場の展望
JLL日本のマネージングディレクター、阿部有希夫ジェームズ氏は、日本市場における投資の現状についても言及しています。「訪日外国人の増加により、ホテル業績は堅調を維持しています。円安が海外からの旅行需要を後押ししており、外国からの不動産投資の魅力が増しています」とのこと。
さらに、低金利の金融環境も追い風となっており、銀行からの借入コストが低水準で推移しています。これらの要因が相まって、日本は2026年もアジア太平洋地域の主要なホテル投資先であり続ける可能性が高いと言えます。
まとめ
総じて、アジア太平洋地域のホテル市場は観光需要の回復とともに、堅調な成長が見込まれています。特に日本はその中心的な存在として、今後も注目されるでしょう。安定した投資環境を背景に、さらなる成長が期待できるこの地域のホテル市場を、今後も注視していきましょう。