慶應イノベーション・イニシアティブがLYMPHOGENIXに出資
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)が、英国ロンドンと日本名古屋に拠点を置く次世代バイオベンチャー、LYMPHOGENIX Ltd.に投資したことが発表されました。今回の出資により、LYMPHOGENIXは約260,000ポンド(日本円で約5,000万円)の資金を調達し、リンパ管再生に基づく不妊治療製品の開発を加速することを目指しています。
不妊症は多くの人々にとって深刻な問題であり、特に女性において子宮内膜の健康が妊娠に大きく関わります。特に、リンパ管の機能低下により子宮内膜が線維化すると、受精卵が着床できないという問題が生じます。既存の不妊治療法は、卵子や卵巣の機能を改善することは得意でも、子宮内膜に直接働きかける治療法は少ないのが現状でした。
LYMPHOGENIXのアプローチ
LYMPHOGENIXは、リンパ管再生による不妊治療を進めるために、特定の細胞群やその分泌成分を特定して、大量生産する技術を確立しています。これにより、線維化された子宮内膜を改善し、妊娠の可能性を高めることを目指しているのです。
また、この技術はヒトだけでなく、畜産動物にも応用される予定で、特に牛の妊娠率を改善することにも貢献する可能性があります。妊娠率の向上は、畜産業における効率化及び環境問題の解決にも寄与するのです。これは、温室効果ガス(GHG)の排出を減らすことにもつながります。
不妊治療における新たな展望
LYMPHOGENIXが開発する不妊治療製品は、ヒトの子宮内膜にだけではなく、畜産動物における不妊症の改善にも役立つことが期待されています。これにより、これまで治療の手立てが限られていた不妊に対する新たな解決策が生まれることが予想されます。
慶應イノベーション・イニシアティブについて
KIIは、2015年に設立され、慶應義塾大学の研究成果を活用したスタートアップの支援を目的としています。「その研究が、その発明が、そのイノベーションが、社会を変えるまで」というミッションを掲げており、シード・アーリーステージへのリード投資を中心に、医療や健康の課題解決に取り組んでいます。2023年には、インパクトファンド「KII3号インパクトファンド」を設立し、健康で幸福な社会の実現を目指しています。
新たな不妊治療法の実現が期待される中、LYMPHOGENIXとKIIの今後の展開に注目です。この投資が、どのようにして不妊治療の革命につながっていくのか、期待大です。