大島幸代専任講師が「第32回鹿島美術財団 優秀賞」を受賞
大正大学の文学部歴史学科に所属する大島幸代専任講師が、先日行われた授賞式において「第32回鹿島美術財団優秀賞」を受賞しました。この賞は、美術研究の分野において特に優れた論文に与えられるもので、特に注目すべきなのは、大島講師が研究代表者を務めた論文『陸信忠再考—新出の「阿弥陀三尊像」を手がかりに—』が評価の対象になった点です。
鹿島美術財団優秀賞の背景
この「鹿島美術財団 優秀賞」は1994年に設立され、美術研究者にとって権威ある賞として知られています。財団から調査研究助成を受けた研究の中から、特に優れた成果に対して贈られることから、多くの研究者がこの賞を目指して努力しています。美術研究者の間でこれほど注目される賞は国内でも数少なく、そのため受賞は大変名誉なことです。
研究の内容
大島講師が受賞対象となった研究は、美術作品の制作過程をより具体的に、鮮明に把握することを目指しています。特に彼女は南宋時代に活躍した仏画師、陸信忠の作品に着目し、その技法や素材、描き方の特徴を徹底的に観察しました。研究の過程で、彼女は陸信忠が多くの職業画家を指導し、システマチックに制作を行っていた証拠を見つけ出しました。
「多くの古い美術作品が残っているが、それが生まれる現場の様子は意外と知られていない」と大島講師は述べています。彼女の研究は、その微細な情報を読み取り、朧げな風景を描き出すことに成功しています。
大島幸代のコメント
受賞についての大島講師は「この賞を頂き、本当に嬉しく思っています。私が研究で重視してきたのは、『モノ』を見ることです」とコメントしました。実際に博物館や寺社へ足を運び、目の前にある美術作品から多くの情報を受け取り、それを整理し新たな洞察を得るというプロセスは、美術史研究の中心的な作業であり、彼女にとって大きな魅力でもあると語ります。
文化財・考古学コースの授業風景
大正大学文学部歴史学科の文化財・考古学コースでは、学生が文化財に対する深い理解を得られるよう、多様な学びの場が提供されています。実際の美術作品を手に取ることや、考古学的な実習を通じて、歴史や文化財に対する視点が広がる機会がたくさん用意されています。
大正大学の教育理念
大正大学は、仏教の理念を基に「智慧と慈悲の実践」をモットーに教育を展開しています。学生は自己の研鑽を通じて他者の幸福を願う行動を身につけ、将来的には社会に貢献できる人材になることが求められています。
受賞を機に、大島講師の研究や教育活動がますます注目されることを期待しています。美術研究の発展に寄与する彼女の今後の活躍から目が離せません。