近年、日本における女性の働き方が著しく変化しています。特に、子育てをしながらフルタイムで働くワーキングマザーの数は増加しており、それに伴い“ワーク”と“ライフ”の整合性を求める声も高まっています。シーズアンドグロース株式会社が実施した実態調査によると、74%のワーママが「キャリアの充実と子育て・家庭の充実は比例する」と回答しています。この調査結果は、今後の働き方を変える重要なポイントを示唆しています。
この調査では、100名のワーキングマザーを対象に「子育てとキャリアの両立」に関する意見を集めました。その結果、76%の女性がライフイベント、つまり出産や子育てを機に意図せずキャリアを手放した経験を持っていることが明らかになりました。このデータから、依然として多くの女性がキャリアと育児の間で選択を強いられていることがわかります。これまでの働き方の多くは、両者のバランスを取るために、どちらかを犠牲にすることを前提としていました。
ワーク・ライフ・インテグレーションの重要性
近年注目されている「ワーク・ライフ・インテグレーション」は、この厳しい現状を打破する新しいアプローチです。これにより、仕事と私生活が切り離されるのではなく、互いに補完し合う関係へとシフトすることが目的です。内閣府による定義では、これは「ワークとライフを統合する」ことを意味し、個人や企業のみでは達成できない部分を支援する、より包括的な概念です。
具体的には、リモート勤務とフレックス制度を活用し、子供の世話をしながら効率的に仕事を進める方法や、家事と仕事を同時に行うワーキングスタイルが挙げられます。このような働き方が普及すると、育児に対する意識が変わり、より多くの人々が家庭とキャリアを両立できる道が開かれるのです。
調査結果を受けての企業の取り組み
この調査において、約8割のワーキングマザーがキャリアの中断を経験していることが分かりましたが、これは決して少数派の問題ではありません。この現実に対抗するためには、企業はキャリア育成に関する意識を改革し、子育てと仕事の両立を容易にする制度を整備していく必要があります。特に、ワーキングマザーがキャリアを諦める必要がない環境を整えることが急務です。
今後は、育児と仕事の負担の増加が見込まれているため、企業が抱える課題も多くなるでしょう。プライベートな負担を軽減しながらキャリア形成ができる制度作りが求められています。シーズアンドグロース株式会社の執行役員コンサルティング部長は、雑誌のインタビューの中で「今の学生はただ条件や福利厚生を重視するだけでなく、自分のキャリアをどう築いていくかを考えるべき」とも述べています。彼女は、ワーキングマザー自身の価値を再確認し、それを評価される社会の実現を目指しているのです。
社会全体への影響
今後、両立支援制度を整備するだけでなく、真の「ワーク・ライフ・インテグレーション」を認識し、その実現に向けて具体的な施策を打ち出すことが求められています。家庭とキャリアを両立させることは、ワーキングマザーだけでなく、次世代の社会全体にとっても重要なテーマとなるでしょう。さまざまな制度や考え方を積極的に導入し、共働き世帯が満足できる環境を作り上げることが、未来を見据えた日本の働き方の象徴となると考えられます。これからの子育てと仕事が両立する社会に、多くの期待が寄せられています。