宇宙利用拡大に向けて、クリタが水再生技術へ挑戦

宇宙空間での生活や活動には、必ず水が必要です。そのため、宇宙向けの水再生・循環技術の開発は非常に重要な要素となります。これを受けて、栗田工業株式会社（以下、クリタ）は、株式会社日本低軌道社中が進めている国際宇宙ステーション（ISS）の「きぼう」日本実験棟の後継機となる「日本モジュール」において、特に水の再生技術を中心にした取り組みを開始することになりました。

新たな宇宙エコシステムの形成

国際宇宙ステーションの退役が2030年に予定されている中で、多くの国々がポストISSとして宇宙利用の新たな道を模索しています。日本も例外ではなく、特に日本低軌道社中の取り組みが注目されています。この会社は、JAXAから支援を受けて、「日本モジュール」と商用物資補給船「HTV-XC」の開発を進めています。

クリタは、これらのプロジェクトに参画し、水再生・循環インフラ技術の開発を通じて、宇宙利用のエコシステムの構築に貢献することを目指しています。この協議では、さまざまな企業や機関と連携し、持続可能な宇宙環境を実現するために不可欠な水のニーズについて調査を行っていく計画です。

宇宙における水の重要性

なぜ、宇宙での水問題がそんなにも重要視されているのでしょうか。水や資源の地球からの輸送には非常に高いコストがかかります。このため、宇宙空間での水のリサイクル技術や循環利用の確立が急務となります。クリタは、日本モジュールにおける水供給ニーズの調査を進め、これに基づいて必要な技術要件の検討を行う予定です。

長年の経験と技術

クリタは、JAXAとの共同プロジェクトによる宇宙向け水再生システムの実証試験を通じて、長年培ってきた水処理の技術を宇宙へと応用しようとしています。これまでの知見を生かし、宇宙での水の取り扱いや処理技術の向上を図ります。また、得られたデータや技術は地球上での社会課題の解決にも役立てられます。

持続可能な未来のために

クリタグループは、宇宙開発に関わる官民連携を強化し、宇宙プラントの構築や水の回収・精製技術の開発を進めます。このような取り組みを通じて、人類の宇宙への挑戦をサポートすることを目指しています。さらに、宇宙研究から得られた知識を駆使して、地球上の課題解決にも積極的に参加し、持続可能な未来に貢献していく方針です。

宇宙における水の重要性が今後ますます高まる中、クリタの取り組みには大きな期待が寄せられています。宇宙から得られる知見が、地球上の技術革新や社会の発展にどのように寄与するのか、今後の動向に注目です。