デジタル金融の進展
2025-10-28 16:07:35

国内外デジタル金融インフラ構築に向けた新たな一歩

デジタル金融インフラの強化に向けた新合意



2023年10月16日、株式会社アイ・ピー・エス(IPS)とJPYC株式会社がフィリピンでのデジタル送金および決済インフラの構築に向けた基本合意書を締結しました。この合意は、今後、フィリピンペソに連動するステーブルコインの発行と流通、そして、日本円建てステーブルコイン『JPYC』のフィリピンでの流通の共同事業を検討することを目的としています。

ステーブルコインとは?



ステーブルコインとは、法定通貨、例えば円や米ドル、ユーロといった通貨の価値に連動するように設計されたデジタル通貨のことを指します。特に、フィリピンでは米ドル建てのステーブルコイン市場が急速に拡大していますが、そもそも国内での金融包摂が課題となっています。各国でのデジタル通貨の利用と普及が進む中で、国境を越えた安全かつ低コストの決済手段を提供する組織の構築が急務とされています。

合意の背景と目的



JPYC株式会社は2019年に設立され、「社会のジレンマを突破する。」をスローガンに、ステーブルコイン事業を開始しました。2025年には資金決済法に基づく『資金移動業者』に登録され、初めて日本円と1対1で交換可能な電子決済手段を提供します。一方、IPSグループはフィリピンでの通信インフラに加え、日本・フィリピン・シンガポールを結ぶ国際海底ケーブルの建設などを手掛けてきました。

このような背景の中で、両社は現在のフィリピンの市場環境が、ステーブルコイン事業を進めるのに最適なタイミングであると判断しました。特にフィリピンでは在外フィリピン人労働者(OFW)による送金がGDPの約8%を占めており、従来の送金手段は手数料が高く、利用者に対し大きな経済的負担を強いています。

新たな決済インフラの展望



本合意書により、両社は、教育や医療、販売促進の分野でのデジタル決済ソリューションを提供し、企業間決済(B2B)や電子商取引(EC)など、さまざまな支払い方式に対応できるインフラの構築を目指します。特に、銀行口座を持たない成人が40%以上を占めるフィリピンでは、このようなインフラの発展が金融包摂を促進する重要な要素となります。

日本とフィリピンの架け橋に



日本では、既存の決済インフラの高度化を目指す国家的な試みが進んでいます。IPSグループは通信事業を通じて、両国の規制当局との信頼関係を築き上げてきた経歴があり、これにより、デジタル通貨市場での透明性と信頼性を確保しつつ、安全な決済の枠組みを整えることが期待されています。

JPYC株式会社は、これまでに多くのブロックチェーン関連の協会に参加し、さまざまなデジタル資産の発展に寄与してきました。これからは、規制に対応した信頼性の高いデジタル資産の普及を進め、国際的に相互運用可能な金融インフラを実現するための取り組みを強化していく所存です。

まとめ



新たな基本合意書の締結を通じて、株式会社アイ・ピー・エスとJPYC株式会社は、金融取引の未来を切り拓く重要な一歩を踏み出しました。デジタル通貨を軸にした新しい決済インフラが構築されることで、より効率的で透明性のある経済活動が実現し、国や地域を問わず、人々の生活を豊かにすることが期待されています。


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