AIで測定精度向上
2025-06-11 14:20:28

AIが導波路の接続状態を自動判定、測定精度向上に期待

AI技術が変える高周波デバイスの評価



産業技術総合研究所(産総研)で開発された新しい技術は、ミリ波からテラヘルツ波の電磁波の測定で、導波路の接続状態を自動的に判定できる画期的なシステムです。このシステムは、AI技術の一種である機械学習を活用しており、これまで熟練した技術者にのみ求められていた測定の精度を、誰でも安定して実施可能にすることを目指しています。

導波路は、電磁波を効率的に伝送するための重要な要素であり、高周波デバイスにおいてその接続状態の良否は測定精度に直結します。従来は、作業者の目視や手作業による確認が行われていましたが、これでは人によって判断が食い違い、測定結果にばらつきが生じることが課題となっていました。

新たな自動判定システム



新たに開発された技術では、導波路の接続状態が測定データにどう影響を与えるかを学習させ、異常を自動で判定できる仕組みを構築しました。具体的には、導波路の接続状態によって変わる測定データを収集し、それを基に接続状態を正確に判別するアルゴリズムを設計しました。これにより、複雑な計測環境においても高い測定精度を保つことが期待されています。

スムーズな測定を実現するためには、デバイスに対して正確に電磁波を送り、反射波や透過波を適切に評価することが重要です。ただし、導波路の位置ズレは微小であることが多く、目視による確認は難しいことが一般的です。新システムはこの課題を解決するため、データ分析を活用し、接続の良否を客観的に判定することを可能にしています。

産業界への期待



この技術が広まることで、次世代通信技術である6Gやテラヘルツスキャナーの実用化が加速することが期待されます。特に、これらのデバイスは多種多様な電子部品を駆使しており、その性能を引き出すためには、正確な評価が不可欠です。新システムにより、特に高周波帯における評価プロセスが効率化され、開発者がより迅速かつ正確にデバイスの特性を把握できるようになるでしょう。

しかも、この技術は趣味や独習で測定に不慣れな新しいエンジニアにも対応できるため、高周波デバイスの開発環境が一変する可能性を秘めています。これにより、電磁波の測定精度が飛躍的に向上し、安定したデータをもとにした研究や産業利用が進むでしょう。

将来のビジョン



今後は、導波路接続状態の判定だけにとどまらず、測定システムの自動・自律化が推進される見込みです。導波路の電動アライメントシステムとの組み合わせにより、測定環境の全自動化が実現することで、作業コストが大幅に削減されるでしょう。これにより、高価な高周波機器の管理も容易になります。

2025年には、サンフランシスコにて開催されるIEEE MTT-S International Microwave Symposium(IMS)でこの技術が発表される予定です。産総研の新技術により、ミリ波・テラヘルツ波技術の研究開発が一層加速されることを期待しています。


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