花粉症改善における乳酸菌の意外な考察
春の到来と共に増加する花粉症の悩み。この時期、多くの人たちが鼻水やくしゃみに苦しんでいます。しかし、最近発表された驚きの調査結果が注目を集めています。SheepMedical株式会社が運営する「菌ドック」が行った調査によると、花粉症の症状改善と腸内の乳酸菌との関係は、これまでの常識を覆すものでした。
調査概要
この調査は、腸内細菌を検査した約2万人分のデータをもとに行われ、腸内フローラと花粉症の関連性を探りました。対象は、10歳未満と90歳以上の人を除外し、さらに外国人もカウントに入れず、計17,477人に及びました。対象者の内訳は、花粉症歴がない人が7,908人、現在花粉症の人が8,076人、過去に花粉症があったが今は改善した人が1,493人です。
意外な乳酸菌の保有量
調査の結果、「花粉症が改善した人」は、乳酸菌の保有量が約2,300億個少ないことが判明しました。具体的には、改善した人の乳酸菌保有割合が約1.73%で、改善していない人は1.96%でした。このヒントは、腸内細菌の総数を仮定すると、実に約920億個の差があることを示しています。これは、乳酸菌が多いからといって必ずしも花粉症の改善に寄与するわけではないということを示唆しています。
その他の菌種の違い
更に、プレボテラ菌などの他の菌種においても大きな違いが見られました。花粉症が改善した人は、体内のプレボテラ菌が約10%減少し、一方で整腸効果のある酪酸菌(フェカリ菌など)は約1.11倍多く検出されました。これらの菌は、食生活や腸内環境に深く関与しているとされています。
長寿菌の恩恵
酪酸菌は、腸のpHを弱酸性にし、免疫力を高める役割を担う「長寿菌」としても知られています。この菌は、ぬか漬けや野菜から摂取できるもので、実際に花粉症を改善した人の方が圧倒的に多くの酪酸菌を保有していました。このデータは、腸内環境を良好に保つためには、食物繊維を多く摂ることが重要であることを示しています。
まとめ
これらの結果は、従来広く信じられてきた「乳酸菌は花粉症に良い」という考え方を見直す必要があることを示唆しています。また、食物繊維の摂取や腸内細菌の多様性向上が花粉症改善に有効だということも明らかになりました。今後は、腸内環境を整えることが花粉症対策の新たなスタンダードになるかもしれません。食生活においては、様々な菌の摂取が大切で、多様性を持つことが鍵となるでしょう。実際に、多様な食材を取り入れて腸内環境を整えたグループでは、花粉症の症状改善が確認された事例も報告されています。
調査概要
- - 調査期間:菌ドックサービス開始~2025年3月
- - 調査方法:菌ドック検査結果を用いた調査
- - 対象者:菌ドックを利用した17,477名