平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク
2025年8月1日、広島市の旧日本銀行広島支店において、被爆80周年を記念した「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」のオープニングセレモニーが開催されました。このプログラムは、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが主催し、視覚障害者の案内のもとで行われる体験型のソーシャルエンターテイメントです。過去の戦争やその影響を、視覚以外の感覚を通じて体感することを目的とした特別なイベントで、広島で開催されるのは初めての試みです。
セレモニーの様子
オープニングセレモニーには、広島市長の松井一實氏や、協賛企業の清水建設株式会社の宮本洋一氏、ダイアログ・ジャパン・ソサエティの志村季世恵代表理事、アテンドを行う視覚障害者の代表が登壇しました。各々が自らの経験や思いを語り、参加者に対して力強いメッセージが送られました。
市長の松井氏は、実際に本プログラムを体験した際の感動を語り、「対話の大切さを深く実感しました」とコメント。彼は広島市が掲げる「平和文化」の振興にとって、今回の取り組みが重要であると述べ、被爆地広島から新たな平和の発信がされることに期待を寄せています。
宮本氏もまた、旧日本銀行の工事を手掛けた観点から、この場所が持つ歴史的意義を強調し、「対話による相互理解の重要性が、さらなる平和を生む」との期待を述べました。志村季世恵代表理事も過去3年間の準備を経て、今回の開催が持つ意義を強調され、「人々が信頼と対話を重ねて復興してきたことを思い起こすきっかけになれば」との願いを表明しました。
暗闇での体験
ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、参加者は純度100%の暗闇の中で、過去の生活に思いを馳せながら体験を重ねていきます。その中で、視覚以外の五感をフル活用して人と人とが繋がる瞬間が生まれます。この特別なプログラムでは「1945年」を再考する光のインスタレーションも導入され、参加者は暗闇に浮かぶ光を通じて、自身の内面的な疑問や感情に触れることができるよう工夫されています。
持続する思い
このプログラムは、戦争や復興についての理解を深める重要な機会であり、特に次世代にその情報を伝えるための役割も担っています。参加者は、戦後80年という月日の中で、平和を次世代へと伝える力を育む体験となることでしょう。多くの若者や子どもたちにとって、戦争を直接体験することが難しい現代、ダイアログ・イン・ザ・ダークは「1945年」と「2025年」を繋ぐ大切な架け橋となることを目指しています。
今回のオープニングセレモニーを経て、「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」は今後、更なる広がりを見せることが期待されています。もちろん、このプログラムに参加することはすべての人に無料で提供されているため、多くの参加者がこの貴重な機会を通して、自らの平和観を考え直す契機となるでしょう。
この特別な体験が、広島から世界へと広がり、より多くの人々が平和について考えるきっかけとなることを願っています。体験は2025年8月2日から11日までの期間中に行われますが、事前の予約は必須であるため、興味がある方は早めの登録をお勧めします。