東京が目指すアクセシブルな観光都市への取り組みとは

アクセシブルな観光都市東京を目指して

2021年に発表された国際基準「ISO21902」は、観光業界におけるアクセシブル・ツーリズムの重要性を世界に示しました。この流れを受け、公益財団法人東京観光財団を中心とした共同研究が数々の新たな視点を提供しています。研究の目的は、東京都が多様な旅行者を受け入れるための具体的な取り組みを整理し、さらなるバリアフリー向上を目指すことにあります。

研究の背景

東京は2024年に訪日外国人が約3600万人に達すると予測され、さらに2025年には「東京2025デフリンピック」が開催される見込みです。これを契機に、東京はアクセシブル・ツーリズムをバージョンアップさせる必要があります。そのために行われたのがこの共同研究です。関係者が集まり、地域・観光関連事業者が行うべき取り組みや重要な視点をまとめました。

アクセシブル・ツーリズムの定義

アクセシブル・ツーリズムとは、身体的、精神的、知的、感覚的な障害を持つ人々が観光を楽しむための環境を整えることです。国際的には「障害者の権利に関する条約」に基づき、観光業界でもその実現が求められています。一方、日本では「ユニバーサルツーリズム」という言葉が使われることが多いですが、両者は根本的には同じ方向性を持っています。

ユニバーサルツーリズムと国内政策の関連

日本では観光庁がユニバーサルツーリズムを推進し、高齢者や障害者が安心して旅行を楽しめる環境を整えることが目指されています。国内の30%を超える人口を対象にした市場は、旅行業界にとって大きなチャンスです。そのため、今後は観光業界が特定のニーズに特化したサービスを提供することが求められます。

旅行者のタッチポイント

旅行者の行動は計画から始まり、交通機関、宿泊、飲食、エンターテインメントなど多岐にわたります。各ステップでの配慮が重要であり、本研究では、都内の具体的な13の事例を取り上げました。その中で、重要な取り組みポイントとして以下が挙げられます：

1. 当事者目線の理解：障害を抱える方々の視点を持ち、専門家の意見を重視する。
2. バリアの想像力：さまざまな障害に対する理解を深め、多様な視点で考える。
3. 個々の困りごとの理解：同じ障害であっても、ニーズは人それぞれ異なることを意識する。
4. 歓迎の姿勢：来訪者に対する歓迎の気持ちを、視覚的に伝える。

今後の展望

本研究の成果は、観光業界においてアクセシブル・ツーリズムの理解を深め、具体的なアクションを促進するためのガイドとして機能します。地域の観光関連事業者は、タッチポイントを意識し、当事者の視点を取り入れた取り組みを進めることが重要です。東京が本当にアクセシブルな観光地となるためには、関係者が一丸となって取り組む必要があります。

今後も、東京観光財団によるサポートのもと、観光業界全体がこの動きに賛同し、より多様な旅行者が楽しめる都市づくりが進むことを期待しています。