訪日外国人旅行者向け貸切バスの安全性向上策について

国土交通省が全国で貸切バスの安全性向上策を講じる

近年、訪日外国人旅行者の増加により、貸切バスの需要が急増しています。この背景を受け、国土交通省はバスの安全性をより高めるため、運行管理者を対象とした事業者講習会および街頭監査を全国一斉で実施すると発表しました。本稿では、これらの取り組みの目的や内容について詳しく解説します。

増加する貸切バスのニーズ

訪日外国人旅行者の流入は、観光業の活性化に寄与していますが、それに伴い、貸切バスの運行における安全問題もさらに重要な課題となっています。過去には、軽井沢スキーバス事故などの悲劇的な事故が発生しており、その教訓を生かして貸切バスの安全性向上が求められる状況です。特に、令和4年に静岡県で起きた貸切バスの横転事故では29名の死傷者が発生し、このような痛ましい事例を二度と繰り返さないために、国は新たな対策を制定しました。

実施される事業者講習会

今年度は、繁忙期に向けて、以下のような内容で事業者講習会を開催する予定です。

1. 実施時期: 5月から7月
2. 対象者: 貸切バス事業者の運行管理者等
3. 講習内容:
- 事業用自動車による交通事故の発生状況
- 最近の事故事例
- 事業用自動車の安全対策
- 最近の監査および行政処分
- 最新の法令の改正について

この講習会において、参加者は最新の交通事故の状況や安全対策に関する知識を習得し、安全運行への意識を高めることが期待されています。

街頭監査の実施

さらに、街頭監査も行われることになっており、こちらも4月下旬から7月の間に実施されます。具体的な実施場所としては観光施設の駐車場、高速道路のサービスエリア、主要駅、空港、旅客船埠頭が挙げられています。

この街頭監査では、バス事業者の法令遵守状況が確認され、違反者に対する指導や是正が行われます。これにより、運行管理者や運転手が法令をしっかり守ることが促進され、公共交通機関における安全性がさらに向上することを目指しています。

安全性向上へ向けての意識啓発

今回の取り組みは、単に法令遵守だけでなく、貸切バスの運行に関わるすべての関係者に対し、安全運行の重要性を再認識させることが重要です。国土交通省の取り組みを通じて、訪日外国人旅行者に安心して利用してもらえる環境を整えることが求められています。バス事業者のみならず、すべての運行に関わるスタッフが安全運転を強く意識し、事故ゼロの運行を目指すことが、結果として観光業全体の発展にもつながるでしょう。