海外人材の育成と定着を支える企業支援体制の現状とは
日本の企業で働いている海外人材を対象とした調査が実施され、育成プログラムの実態が明らかになりました。ヒューマンリソシア株式会社と他の企業が共同で行なった今回の調査からは、育成体制の整備状況や活用されている支援内容について多くの示唆が得られました。
調査結果の概要
調査によると、海外人材向けの育成プログラムが「十分に整備されていた」と感じているのは、全体の約5割にとどまることがわかりました。「整備されていた」と回答した企業も含め、全体で51%に対して、残り49%は育成プログラムが不十分であると認識しています。
具体的には、入社時の研修やビジネスマナーに関する教育が多く見られましたが、生活やキャリア支援に関するプログラムは十分に整備されていない様子が浮き彫りになりました。特に、生活に関する相談窓口やキャリアパスの説明などは提供されていない企業が多いことが懸念されています。
上司や同僚からの支援が重要
調査の一環として、職場での支援状況についても尋ねました。約82%の参加者が職場の上司や同僚からの支援を受けたと答えており、その中でも「業務のやり方を教えてくれた」という支援が最も多く、72%がそのような傾向を示しました。
また、「温かく接することで安心感を与えてくれた」という回答も44%を占めるなど、職場での人間関係が海外人材の定着において重要な役割を果たしていることが伺えます。とはいえ、18%の人々は支援が不足している、もしくはまったくなかったと回答しており、改善の余地があることが示されています。
自立支援の必要性
この調査結果からわかるように、海外人材が日本で安心して生活し、キャリアを築いていくためには、企業側の支援体制が必須です。国内の労働力人口が減少する中で、海外人材への期待が高まっている一方で、その定着には企業の真剣な取り組みが必要です。彼らが定住し、長期にわたり活躍するためには、文化的適応、言語の習得、そしてキャリアプランの明示など、多角的な支援が求められます。
統計によれば、日本で働く海外人材は2024年10月時点で約230万人に達し、今後も増加する見込みです。彼らが日本の職場で安定して働き続けるために、企業は積極的な施策を講じる必要があります。
これからの取り組み
ヒューマンリソシアのGITサービスは、海外ITエンジニアに特化した支援を行っており、このような支援を通じて多様性のある職場文化の醸成に寄与しています。しかし、それと同時に企業が海外人材を受け入れる際の体制を再整備することも急務です。特に生活基盤の確立やキャリアサポートに対する取り組みを強化し、実効性のある支援体制を整えることが期待されます。
日本企業が国際的な競争力を持つためには、さらに積極的な姿勢で海外人材の育成と定着を図る必要があります。彼らが日本での生活を快適にし、キャリアを築いていける環境を提供することが、企業の持続可能な成長につながるのです。