急成長企業SHIFTが示すAI活用による人的資本経営の革新
日本の急成長企業であるSHIFTが技術を駆使して取り組んでいる人的資本経営の実態が、一般社団法人プロティアン・キャリア協会主催の「急成長企業SHIFTの挑戦 ~AIを活用する経営の現場から~」セミナーで鮮明に描かれました。本セミナーは2025年11月5日(水)に開催され、その模様がアーカイブ配信されています。SHIFTは従業員1.5万人を抱えるメガベンチャーであり、急成長の要因として彼らの先進的な経営手法が注目されています。
1. SHIFTの人的資本経営とは
SHIFTが掲げる人的資本経営は、「街の経営」という独自の概念の下に構築されています。人材採用と育成に注力し、日本が抱える生産年齢人口の減少やIT人材の不足という深刻な社会課題に立ち向かう姿勢が強調されました。彼らのアプローチは、人口の流入を最大化するための「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の大量採用」と、従業員のエンゲージメントを高めるための環境づくりに焦点を当てています。これにより、SHIFTは採用した人材の流出を最小限に抑え、彼らの価値を最大化することを目指しています。
2. LTV(Life Time Value)の重要性
SHIFTは、人的資本経営の中核指標として「LTV(生涯価値)」を独自に定義しました。彼らはLTVを、エンジニアの人数、在籍期間、そして「個」の価値創出の3要素で計算しています。具体的には、2023年度には69億円の人的資本投資が、将来的に1,043億円のLTV増加につながるとの試算が示されています。これにより、投資とリターンの関係を明確にし、経営判断の質を高めています。
3. データとAIを駆使した経営戦略
上岡氏は、人的資本経営の実現には「見える化」が重要であり、SHIFTは「3つの違い」を知り、見極め、活かすことに取り組んでいます。具体的には、独自のタレントマネジメントツール「ヒトログ」を使用し、従業員の情報を450項目にわたってデータ化して一元管理しています。また、役員が評価会議において「ヒトログ」のデータをもとに全従業員の評価を行うことで、個人の成長が組織全体の成長につながるようにしています。
4. AIの活用
SHIFTは「AIネイティブなSIカンパニー」を目指し、AIを人事フローに徹底的に取り入れています。採用活動では履歴書分析AI「Resumiru」を活用し、書類選考時間を15分から8分に短縮、内定時に使用するAIオファーレター作成ツール「kitene」によって承諾率を著しく改善しています。また、新入社員のオンボーディングでは、AIエージェントの「めん太くん」を導入し、従業員の心理的な状態を把握する助けとしています。このツールを通じて、上司には話しにくい本音やキャリアの悩みを気軽に相談できる環境を提供しています。
5. プロティアン・キャリア協会の役割
本セミナーの主催であるプロティアン・キャリア協会は、現代のキャリア理論の必要性を提唱しています。従来の方法から脱却し、個人の主体的なキャリア開発を助けるための進んだ人的資本経営が求められています。このような革新は、SHIFTのような企業が先駆けて行っており、その成功事例は他企業にとっても大いに参考となるでしょう。今後も本協会はAI時代のキャリア開発に関するセミナーを定期的に開催する予定です。
今回のセミナーは、SHIFTがどのようにして急成長を実現しているのか、またその背景にある人的資本経営の重要な要素を学ぶ絶好の機会でした。同社の成功事例は、多くの企業にも新たな視点を提供しています。