JPYCと電算システムの基本合意
2025年9月17日、JPYC株式会社と株式会社電算システムが、共同でキャッシュレス決済に関する基本合意書を締結しました。これは、日本円建ステーブルコイン「JPYC」を利用した新しい決済・送金・精算システムの構築に向けた重要な第一歩です。
合意書の概要
今回の基本合意により、JPYCと電算システムは、全国に展開する65,000以上の加盟店ネットワークを活かし、B2C・B2Bでの決済手段を具体化することを目指します。実際の店舗での決済はもちろん、ECサイトでの利用まで想定されており、企業間取引にも対応することが期待されます。
JPYCを支払い手段として採用することで、消費者は新しい決済体験を利用しつつ、これまでの支払い方法を大きく変えずにそのまま利用できることが重視されています。QRコードやバーコードを利用した決済のUXはそのままに、ポイントやクーポンとの併用が可能になるなど、利便性が向上します。
背景
近年、キャッシュレス決済が進展する中でも、依然として現金に依存した手続きが残る分野が少なくなく、特に国際的な取引ではコストや手間が問題になっています。2023年6月には感水金決済法が改正され、これによりステーブルコインの発行が可能になったこともあり、JPYCの社会実装が現実味を帯びています。2025年秋からは、日本円と1:1で交換可能なJPYCが新しい電子決済手段として提供される予定です。この裏付け資産は、日本国債や現金で保全され、複数のブロックチェーンに対応したシステムが整備される見込みです。
今後の展望
両社は、要件定義や実証実験を進めながら、JPYCの発行・償還サービス(JPYC EX)を通じて日常生活で安心して使用できる仕組みを確立していく予定です。少額・高頻度での支払い、請求や決済業務の効率化に寄与するようなサービス構築も視野に入っています。
特に、地域での利用シーンを創出することが重要視されており、観光や自治体への活用も検討されています。また、JPYCはオープンな金融インフラとして、特別な契約なしであらゆる事業者・開発者が導入できることから、さまざまなユースケースにおいての早期展開が期待されます。
JPYCの活用事例
すでに、いくつかの企業でJPYCの導入が進められており、企業向けSaaSサービス「ASTERIA Warp」では、資金移動手続きの自動化が試みられています。また、国内のユーザー数No.1のWeb3ウォレット「HashPort Wallet」にもJPYCが対応予定です。このようにさまざまなサービスとの連携により、利便性を高めていく見込みです。
まとめ
JPYCと電算システムによる新しい取り組みは、単なる決済手段の拡充にとどまらず、キャッシュレス社会の実現に向けた重要な一歩です。未来の決済のあり方を変革するこのプロジェクトから目が離せません。