日本のPR業界の現状と未来
日本パブリックリレーションズ協会(以下PRSJ)が実施した2024年度のPR業実態調査の結果が発表されました。この調査は、PR業界の現状を理解し、業務傾向や未来の方向性を探る重要な機会となっています。今回の実施は通算10回目となり、対象企業は協会会員197社と非会員24社を含む合計221社です。実際には62社からの貴重な回答を得ることができ、有効な回収率は28.1%となりました。
主な調査結果
インテリジェンス活動とリアルイベントの成長
注目すべきは、前回の調査(2022年度)から「情報収集」、「効果測定」といったインテリジェンス活動や「リアルイベント」の取扱いが著しく増加したことです。これにより、PR業界が情報の精度や対面でのコミュニケーションの重要性を再認識していることが伺えます。特に、リアルイベントは、ブランドと顧客との直接的な接触を可能にし、より深い信頼関係を築くために欠かせない手段となっています。
今後ニーズが高まる「危機管理」
一方で、今後急増すると予想されるニーズは「危機管理」に関連する業務です。企業が直面するリスクに対処するための戦略や策が求められるようになり、PR業界においても危機管理の重要性は増す一方です。
環境・社会に関する課題の減少
逆に、前回の調査から「SDGs」や「D&I」、「CSR」関連業務の需要は大幅に減少しています。これは企業の関心が他のリスクや課題にシフトしている兆候かもしれません。
業務と経営の課題
業務上の課題としては、「生成AIの活用」と「他のPR会社との連携」が挙げられています。特に生成AIの進化により、情報処理や分析の効率性が求められている現状が見えます。また、他社との業務連携は競争が激化する中での生き残り戦略としてますます重要視されています。
経営課題に関しては「他社との提携」との回答が急増しており、業界全体での連携や協力が求められていることが明らかになりました。
調査の概要
この調査に関する詳細は以下の通りです。
- - 調査対象: PRSJ会員企業197社、非会員企業24社、合計221社
- - 調査方法: 郵送法
- - 回収率: 28.1%
- - 調査実施時期: 2025年3月
- - 調査実施機関: 株式会社ハミングバード
PR業界の最新潮流を理解するうえで、今回の調査結果は非常に貴重な資料となるでしょう。今後の動向に注意が必要です。