日本ゼオンが強化する低燃費タイヤ向けS-SBR供給体制
日本ゼオン株式会社は、低燃費タイヤに使用される高性能なS-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)の供給体制を強化すると発表しました。特に注目すべきは、シンガポールに新たに導入される生産設備で、これにより、高性能グレードのS-SBRを効率的に供給できる体制が整いました。この設備の建設は完了しており、2026年から本格的な市場供給が開始される予定です。
日本ゼオンは、これまで山口県周南市の徳山工場でのS-SBR生産を1986年から行っており、2013年に開設されたZeon Chemicals Singapore Pte. Ltd.(ZCS社)と合わせて、全体で年間125,000トンのS-SBRを生産できる能力を持っています。この生産量を活かし、「ウェットグリップ性」「転がり抵抗」「耐摩耗性」のさらなる改善を進め、低燃費タイヤ市場におけるトップブランドを目指していきます。
S-SBRは、その分子構造を精密にコントロールし、自動車の燃費向上に貢献する素材です。これにより、燃費向上だけでなく、耐摩耗性を高めることにより、タイヤから発生する粉塵を抑制し、大気汚染の防止にも寄与しています。このような背景から、S-SBRは「SDGs貢献製品」に認定されており、ゼオンはその開発・製造・販売の強化に努めています。
ゼオンのS-SBRの強さは、その高度な分子構造制御技術と末端変性技術にあります。高性能グレードの生産を行う徳山工場に加え、シンガポールのZCS社でも生産が始まることで、グローバルな供給体制が一層強固になります。これにより、S-SBR事業はさらなる高付加価値化が進むでしょう。
シンガポールでの新しい工場外観は、ゼオンのグローバル戦略を象徴する存在となっており、今後の成長が期待されています。ゼオンは企業理念「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」という目標のもと、S-SBRをはじめとする革新的な技術や製品、サービスの提供を通じて、地球および社会の課題解決に向けての取り組みを続けていきます。
今後も、低燃費タイヤ市場におけるゼオンの動きから目が離せません。