宇宙戦略基金とTellusの取り組み
2025年6月10日、東京・新宿を拠点とする株式会社Tellusは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主導する「衛星データ利用システム海外実証」プロジェクトのキックオフミーティングに参加しました。このプロジェクトは、宇宙戦略基金の技術開発テーマの一環で、まずはフィージビリティスタディ(実現可能性調査)を行うことを目的としています。
プロジェクト概要
この取り組みは、一般財団法人日本フォーラムが提案した技術開発課題として、JAXAによって2025年に採択されました。主要な目標は、衛星データを利用したシステムを海外で実証し、社会実装を進めることです。
具体的には、現地拠点の整備や宇宙政策への働きかけ、アウトリーチ活動などを通じて、アジア太平洋地域のステークホルダーとの連携を強化することが求められています。このプロジェクトでは、最終的に数十億から数百億円規模の新たな事業機会を3〜5件創出することを視野に入れています。
多角的な取り組み
Tellusは、このプロジェクトで「基盤整備」に注力し、特に以下の2点に焦点を当てて活動を進める予定です。
1.
能力開発と市場拡大のためのキャパシティビルディング
相手国での能力開発と持続可能な市場の拡大を目指した支援を行います。
2.
現地ビジネスパートナーとの共創
有望なパートナーとの連携を促進し、ビジネススキームの構築に寄与します。
対象国はタイ、ベトナム、インドネシアの3か国であり、それぞれのニーズに即した持続可能な仕組みづくりが求められます。
Tellusの展望
Tellusは本プロジェクトを通じて、アジア太平洋地域で衛星データの解析・分析を支えるプラットフォームの展開を加速します。特に、AIと衛星データを組み合わせることで、新たなソリューションを生み出し、アジア地域の衛星データ流通のハブとなることを目指しています。
Tellusについて
Tellusは、日本発の衛星データプラットフォームを開発・運用している企業で、誰でも簡単に衛星データを活用できる環境を提供しています。2018年にスタートしたプロジェクトを経て、2021年に株式会社として設立され、今後は海外展開も視野に入れています。
サポートと企業としての役割
Tellusは、データ分析やソリューション開発を支援することで、企業や研究機関のニーズに応えることを使命としています。現在の運営体制は、2024年にさくらインターネットからの事業分割を経て整備されました。このような取り組みを通じて、アジアを中心とした海外展開に向けた基盤を強化し、多様なニーズに応えることを目指しています。
宇宙戦略基金とは
宇宙戦略基金は、日本の宇宙産業の競争力を高めるために創設された政府主導のプログラムです。JAXAを中核機関として、産学官が協力し、技術開発を推進しています。衛星データを用いたソリューションの海外展開を支援するテーマとして、本プロジェクトが位置づけられています。
結論
株式会社Tellusの参加によって、衛星データ利用システムの海外実証は確かなステップを踏み出しました。今後の展開が期待されるこのプロジェクトは、アジア太平洋地域における宇宙データの活用を新たに加速し、持続可能な発展に寄与するでしょう。