賃金動向を見据えた新指標「QPI」とは
株式会社QUICKと株式会社ペイロールは、企業の賃上げの実態を多角的に捉える新しい指数「QPI(QUICK-Payroll Index)」を共同で開発しました。この指標は、給与支払い月の翌月初旬にはデータが明らかになるため、速報性が高いという特性を持っています。これにより、従来の公的統計よりも早く賃金の動きが把握できるため、マクロ経済の先行指標としての役割を果たすことが期待されています。
QPIの特長
QPIの最大の特徴は、迅速に得られるデータに基づいた正確な分析です。これはペイロールが保有する給与計算データを活用しており、企業のリアルな賃金の動向を反映しています。また、基本給などの「所定内給与」だけではなく、実際に手元に残る「可処分所得」、さらには「税・社会保険料」の動向も分析し、多面的な視点からのデータ提供が可能です。
2025年6月のデータ分析
2025年6月支払いのデータによれば、所定内給与は前年同月比で3.1%の上昇を記録しています。しかし、これは2024年の3.2%増に比較すると若干の減少であり、物価上昇に追いついていない現状が浮き彫りになっています。一方で可処分所得は前年同月比で5.2%の減少が見られ、これは定額減税が影響したと考えられます。このように、賃金上昇と生活実感の間に乖離が生じていることが如実に表れています。
特に注目すべきは、2025年5月の可処分所得が前年同月比で2.3%の増加を示したにも関わらず、賞与を含んだ6月のデータでは急激な減少が観察されたことです。これは、税金や社会保険料の増加が影響している可能性があります。地方税は前年同月比で6.6%、所得税は7.3%も上昇しており、賃金の伸びを上回る状況です。
今後の展望
QUICKはQPIをもとに、毎月詳細な分析レポートを発表し、企業の賃上げ実態を継続的に伝えていく方針です。これにより、投資家や企業の意思決定をサポートし、経済環境の変化に迅速に対応する体制を整えることが狙いです。
QUICKについて
QUICKは日本経済新聞社グループに属する金融・経済情報サービスのプロバイダーであり、金融業界や事業会社、地方自治体などへの支援を行っています。偏りのない視点から提供されるサービスは、時代に即した重要な意思決定をサポートします。
詳細な情報については、
こちらを参照してください。また、QPI関連の動画も公開していますので、ぜひチェックしてみてください。