壁を乗り越え、自分を磨く
2025年10月16日、岡山大学(岡山市北区)は、元任天堂Wii開発者である玉樹真一郎氏を講師に迎え、オンラインで特別講座を実施しました。この講座は、学生が自由にものづくりや課題解決に取り組むことができる「おかやまテックガレージ」の一環として行われました。
「おかやまテックガレージ」とは、岡山大学の自然科学系総合研究棟の6階に開設された共創スペースで、現在、選抜された学生チームが社会課題の解決や新たな価値創出に向けたプロジェクトに取り組んでいます。この施設は、学生たちが新たな発想をもとに実践的な経験を積むための場として非常に重要な役割を果たしています。
今回の講座は、連続プログラムの一部であり、DAY1では「トレードオフとブレイクスルーの方法」を学び、DAY2ではその概念を更に深める内容が展開されました。そして迎えたDAY3、玉樹氏は「壁の乗り越え方」というテーマで講義を行い、自身の経験を基に多くの貴重な知見を提供しました。
世界のゲームを変えた力
玉樹氏は、任天堂でのWii開発に関わる中で培った「人の心を動かすデザイン」の重要性や、UX(ユーザーエクスペリエンス)設計に関する話題を展開しました。特に、顧客の立場に立った開発プロセスの重要性を強調し、「コミュニケーションがうまくいかないとき、相手のせいにはしない」との岩田聡・元社長の言葉を引用しました。これは、顧客のニーズを重視する姿勢が、プロダクト開発の成否を決める重要な要素であることを示唆しています。
玉樹氏は、自身が直面した「全ての人が喜ぶ完璧な企画」を追求することの難しさを語り、場合によっては「目の前の人を一瞬でも楽しませること」にフォーカスを移すことも大切だと述べました。これは、実証を通じて少しずつ価値を創造するためのアプローチを意味します。
参加者の気づきと反応
講演中は、参加者たちからのコメントがチャット機能を通じて多数寄せられており、活発な意見交換が行われました。このようなインタラクティブなスタイルは、オンラインセミナーでもリアルな対話が可能であることを実証しました。質疑応答の時間には、「心を動かす設計の工夫」や玉樹氏自身の学生時代のエピソードに関する質問が飛び交い、参加者たちはより深い理解を得ることができました。
ある参加者は、「玉樹氏に私の開発方法を『盤石だ』と言ってもらい、自信を持てた」との感想を述べ、意欲を新たにしている様子が印象的でした。
岡山大学の取り組みと今後の展望
岡山大学では、今後もスタートアップ・ベンチャー創出本部を中心に、学生や教職員が持つ研究やビジネスアイデアを形にするための支援を行っていく方針です。特に外部からのメンターによる伴走支援や資金調達、経営相談などの体制を整え、将来の起業家や課題解決のリーダーを育成することを目指しています。
起業や社会課題解決に興味がある学生や教職員は、ぜひ相談してみることをお勧めします。地域の発展に貢献し、より良い未来を共に創っていくために、岡山大学の取り組みに引き続き期待が寄せられています。
このように今回の講座は、ただの講演に留まらず、参加者一人一人の成長に寄与する貴重な機会となりました。今後も岡山大学では、革新的な取り組みを続け、地域に根ざした活動を展開していくことでしょう。