100年の耐久性を持つ橋梁用伸縮装置の革新技術

「橋を支える、とは未来を支えることだ」。この言葉が示す通り、株式会社クリテック工業の若林勇二代表が開発した「ハイブリッドジョイント 3LⅡ」は、橋梁用の伸縮装置として新たな可能性を展開しています。2018年にその存在が発表されたこの製品は、国土交通省をはじめとする多くの公共団体にも採用されており、全国での実績も着実に積み重ねています。

100年の耐久性を科学的に証明

最近、このハイブリッドジョイント 3LⅡは、第三者機関による耐久性試験で、その驚異的な耐用年数100年を公式に認証されました。日本国内には73万もの橋があり、従来の伸縮装置は20〜30年ごとに交換する必要があるため、とてつもない数の橋が恒常的に補修作業の対象となります。このため、税金や時間、そして交通渋滞を引き起こす要因にもなっていました。若林は「この負のサイクルを断ち切らなければ、日本の橋の未来は危険だ」と危機感を募らせています。

製品の特長

3LⅡの設計は、単に長寿命化を実現しただけではなく、万が一の破損時も“良い壊れ方”をするよう配慮されています。これにより、目視だけで異常が確認でき、打音点検や超音波検査が不要となり、交通規制をかける必要がありません。この特性は、住民にとっての騒音や渋滞の軽減にも寄与します。

開発までの道のり

この革新的な技術の出発点は、2007年に起きた東名高速道路での伸縮装置破損事故でした。当時、国からの一斉取替命令が出され、状況に応じた急な対応を迫られることとなります。若林は、この危機を機に従来の営業スタイルを見直し、地方のゼネコンや自治体とダイレクトに協力して新たな製品を開発する道を選びました。

しかし、最初の試作品は失敗に終わりました。破断が起こったのは、わずか30年にも満たない期間でしたが、それが逆に新たな発見のきっかけとなりました。構造上の弱点を特定し、その根本原因に挑むことで、改良を重ねついに3LⅡの開発に成功したのです。

社会貢献への信念

若林は「100年間持つ技術を開発することが社会にどう貢献するのか」という点に重きを置いています。「これを実現すれば、無駄な規制や工事が減り、結果的に市民の生活が楽になる」と彼は限りなくポジティブな姿勢を崩しません。工事による騒音や渋滞は確かに隠れた問題ですが、それを解決することこそが彼らの使命です。

今日の工場と社会への影響

さらに、3LⅡの生産が進むことで、雇用機会も生まれます。この技術は単なる製品に留まらず、地域経済や次世代の技術者育成にも寄与するのです。クリテック工業は、地方の技術者や職人を育成することで、明るい未来を築いています。

未来への展望

「ハイブリッドジョイント 3LⅡ」は、全国のインフラ保全において革命を起こす可能性を秘めています。大動脈とも言える東名高速での実績をもとに、この製品が全国どこでも受け入れられる日が来ると信じてやみません。

100年先の未来を見据え、私たちの日常に新たな価値をもたらすこの革新技術。橋を支えるその先に、すべての人々の暮らしを守るという使命が息づいています。クリテック工業の挑戦は、これからも続いていきます。