IT部門と事業部門の連携実態調査の結果
調査の背景と目的
サイボウズ株式会社が実施した新たな調査では、情報システム部門に関与する係長以上の役職を持つ従業員がいる大企業560社を対象に、IT部門と事業部門間の連携状況に関する実態を検証しました。この調査の目的は、部門間連携が企業の経営にどのような影響を与えているのか、また、どのような課題が存在するのかを特定することです。
部門間連携の重視度
調査結果によれば、企業の85%が部門間の連携を重視していることが判明しました。その中で、「大いに重視している」と回答した企業が26%、さらに「ある程度重視している」とした企業が59%に上りました。このことから、多くの企業が部門間連携の重要性を認識していることが読み取れます。
経営層の関与と支援状況
興味深いことに、経営層は90%が部門間連携に関心を示しているものの、実際に支援を行っているのは約半数に留まっています。具体的には、51%が関心を持ち、支援もしていると答えていますが、39%は関心を示す一方で支援していないという回答でした。このギャップは、実際に連携を進める上での課題を浮き彫りにしています。
具体的な取り組みと課題
企業が行っている部門間連携の具体的な取り組みでは、「セキュリティの強化支援」が最も多く、50%の企業がこの取り組みを実施していると回答しています。一方で、データ活用に関する取り組みが必要とされているにもかかわらず、実施できていない企業が34%に達するという結果も出ました。このことは、データ利活用が喫緊の課題であることを示しています。
連携の実態と部門別の状況
IT部門との連携の程度を部門別に見ると、営業部門が78%で最も多く、法務部門が66%で最も少ないという結果が得られました。これにより、営業部門が他部門に比べてIT部門との連携を強化していることが分かります。
部門間連携の課題
調査で明らかになった部門間連携の課題として、ワーカーにおいては「人的リソース不足」が50%で最多、次いで「ITリテラシーに差がある点」が44%とされています。人的要因は部門間連携における大きなハードルであることが伺えます。
CIO・CTOの影響
興味深いことに、CIOやCTOが在籍する企業では人的リソースの負担が低くなる傾向が見られました。具体的には、ITリテラシーに差がある点の認識がCIOがいる企業では10ポイント低く、人的リソースの確保ができていない点に関しても同様の傾向が見られました。このことは、専門的な人材がいることで部門間連携の障害がかなり改善されることを示唆しています。
まとめと今後の展望
総じて、本調査はIT部門と事業部門間の連携が企業にとっていかに重要か、そして連携を促進する上での課題を浮き彫りにしました。データ活用や部門間のリソース配分の改善が求められる中、経営層の関与が今後の連携促進に寄与することが期待されます。このレポートは、サイボウズの「IT Foresight」でダウンロード可能で、多くの企業にとって有益な情報を提供しています。