建築設計に革命をもたらす「BIM sustaina® for Energy (Standard)」の無償提供
建築業界全体の環境設計力を向上させることを目指す新しいサービスが、ついに公開されました。株式会社one buildingによるWeb省エネ設計支援サービス「BIM sustaina® for Energy (Standard)」が、2025年の省エネ基準適合に向けて無償で提供されます。このサービスは、非住宅の建築における省エネ計算や性能確認を簡単に行えるよう設計されています。今後、カーボンニュートラルを目指す上で欠かせないインフラとなることを期待されているのが、大きな特徴です。
国土交通省の方針と業界の課題
国土交通省の建築着工統計によれば、日本では毎年47万戸以上の新しい建築物が誕生しており、その多くは事務所や店舗といった非住宅です。これら全ての建物が2025年からは省エネ基準に適合することが求められる中、設計者たちには省エネ計算能力が急務となります。
しかし、現在の設計現場では、省エネ計算や申請書類の作成を専門企業に外注することが一般的です。これにより、設計者が要求するスケジュールに間に合わせることが難しくなっているという現状があります。省エネ基準遵守へ向けた取り組みは急務ですが、同時に業界全体が抱える計算業務の負担を軽減することが求められています。
無償提供の意義
新たに提供される「BIM sustaina® for Energy (Standard)」は、Archicad®やRevit®と連携して省エネ計算に必要な情報を簡単に追加することができます。このサービスにより、繁雑な計算作業が大幅に効率化されるため、設計者は本質的な省エネ性能について理解を深め、自身の設計に反映しやすくなります。
このサービスは、環境設計に関する理解と省エネ計算の基礎知識をすべての設計者に提供することを目指しています。業界のスキル基盤を底上げするため、無償での機能提供は第一歩に過ぎません。これからもさまざまなセミナーを通じて、建築設計者の実務対応力を高めていく予定です。
無料アカウントで得られる機能
「BIM sustaina® for Energy (Standard)」の無料アカウントを利用すれば、以下のような機能が手に入ります:
1.
リアルタイムな外皮性能確認
設計プロジェクトにおいて、BIMを利用しながら外皮性能をリアルタイムで確認できます。これにより省エネ検討を設計フローに統合できます。
2.
省エネ適判申請書類の自動作成
必要な省エネ適判申請書類を自動で生成できるため、内製化が実現し、対応スピードが向上します。
3.
環境価値の「見える化」
ライフサイクル光熱費やCO2排出量を簡単に算出できる機能が搭載されており、ZEB設計のアプローチに役立ちます。
セミナーでのサポート
さらに、無償提供とともに開催されるオンラインセミナーは、設計者がより深くBIMを活用できるようサポートします。全4回のシリーズで構成され、参加者は省エネ適判やモデル建物法について基礎から学べます。特に初心者を対象にした内容で、安心して参加できるのも魅力です。
結論
建築設計における省エネ計算は、もはや専門家だけの領域ではなく、全ての設計者に共通の知識として位置付けられるべきです。「BIM sustaina® for Energy (Standard)」の無償提供は、環境設計の新たな扉を開く試みであり、持続可能な未来の建築業界を支える基盤となることでしょう。省エネ計算が設計者の意識に深く根付くことで、資源を無駄にしない建物づくりが促進されることが期待されます。今後もその発展を見守りたいと思います。