京都大学と三生医薬が切り開くサステナブルなカプセル製造技術
2025年3月、東京の札幌コンベンションセンターで開催される日本農芸化学会の大会において、三生医薬株式会社と京都大学は共同で、3Dプリンティングを活用した新たな植物由来カプセル製造技術を発表する予定です。この技術は特に、環境負荷の少ない製造プロセスが特徴で、大豆タンパク質を主成分としたソフトカプセルの開発を目指しています。
研究の背景と目的
近年、動物由来成分の使用を減らすための代替技術や環境に配慮した素材の需要が高まっています。従来のゼラチンカプセルはその柔軟性と加工性で評価されていますが、動物性原料が使われていることや製造過程での環境負荷が問題視されることがあります。
三生医薬と京都大学農学研究科の小林敬助教は、これらの課題を解決するための研究を2013年から進めてきました。本研究では、大豆由来の植物性タンパク質を用いることで、動物由来成分を一切含まないカプセル製造技術を開発し、さらに3Dプリンティング技術を導入することで、さまざまな形やサイズを自由に設計できる新たな製造プロセスを提案しています。
発表内容の詳細
発表の演題は「大豆タンパク質フィルムの製膜における水分活性の影響」で、発表者には京都大学農学部や三生医薬の研究者が名を連ねています。この研究成果は、植物由来のカプセルという新たな選択肢を提供することが期待されています。
主要な研究成果
- - 大豆タンパク質を主成分とし、動物由来の素材を使用しないカプセル製造が可能
- - 有機溶媒を使わず、環境への負荷を低減
- - 3Dプリンティング技術の応用により、従来法では難しかった自由な形状設計が実現
- - 健康食品や医薬品だけでなく、環境に優しい生分解性の包装資材としての応用も視野に入れている
2024年6月には、京都大学と三生医薬はこの技術の基本コンセプトと3Dプリンティングを活用した製品について特許を出願しました。
学会での反響
発表に対する反響も大きく、大学関係者からは「実用化に向けたさらなる研究が期待される」との声が寄せられています。また、食品メーカーからは大豆タンパクを使用するメリットについての質問があり、サステナビリティ関連企業からは別の植物由来素材への応用可能性についての興味が示されました。
今後の展望
三生医薬と京都大学は、取得した知見をもとに、環境負荷の少ないソフトカプセル技術の社会実装を目指します。食品および医薬品分野における共同開発や実証実験を進める意向を示しており、特に今後はサステナブルな包装材としての可能性を探ります。また、3Dプリンティング技術を活用した新製造ラインの開発も視野に入れています。
結び
三生医薬の常務取締役である又平芳春氏は、「持続可能な新技術の開発に取り組んできました。本技術を通じて、環境配慮型の健康食品や医薬品の普及に貢献したい」と述べ、社会のニーズに応える姿勢を強調しています。将来的な技術の実現に向けて、さまざまな企業や研究機関との連携を深めながら、新しい可能性を見出していくことが期待されます。
本発表資料や本技術に興味のある企業・研究機関の方は、三生医薬株式会社にお問い合わせください。