アジア太平洋地域のデータセンター市場に見る日本と隣国の進展

アジア太平洋地域のデータセンター市場のトレンド

アジア太平洋地域におけるデータセンター市場は急速に進化しています。最近発表されたクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのレポートによると、特にマレーシア、タイ、そして日本が今後10年間で著しい成長を遂げる見込みです。このレポートでは、メガワットあたりの人口比率という重要な指標に基づいて、地域の各国がどのような状況にあるのかを分析しています。

まず、マレーシアについて紹介します。かつてはシンガポールのデータセンターのオーバーフロー先として見なされていましたが、今や自身のデータセンター市場を形成しつつあります。最近のデータによれば、マレーシアのコロケーション・データセンターは、現在の6万人から2030年には1万4,000人へと、メガワットあたりの人口が最適化される見通しです。この背景には、クアラルンプールを中心とした国内需要や、ジョホール州におけるAIおよびクラウドサービスの需要拡大があります。

次に、タイについてです。同国のデータセンター市場は発展途上にあり、メガワットあたりの人口比が約80万人から約22万人に減少する見込みです。これは、タイのデータセンターの稼働容量が地域で最低水準であることに起因していますが、今後のハイパースケーラー投資の影響で、より注目されることが期待されています。

日本は、この地域のデータセンター市場において、2025年までにメガワットあたりの人口比率の進展が世界で3番目の速さで進むとされており、現在の9万4,000人から約3万人へと最適化される見込みです。日本の強みは、安定した政治環境と豊富な人口、さらには世界第4位のGDPを誇ることです。これにより、日本は国際的な投資家にとって魅力的な投資先となっているのです。

レポートの著者であるプリーテッシュ・スワミー氏は、「アジア太平洋地域ではデータセンターのインフラ整備が遅れており、米国と比較しても1メガワットあたりの平均人口が約35万人を超えている」と語っています。また、インフラ拡大に向けての努力が今後も続くことが示唆されています。

さらに、人口の増加に加えて、経済的な要因もデータセンター市場の発展に寄与しています。スワミー氏は、「GDPが1兆米ドルを超える経済圏は、今後3〜5年にわたり主要な成長拠点であり続ける」と述べています。これに基づき、データセンター市場の成長は、経済の成熟度とも強く関連していることが分かります。

総じて、アジア太平洋地域のデータセンター市場は、国ごとの特性や投資環境に応じた成長を遂げています。マレーシア、タイ、日本の動向を通じて、今後10年間の市場の方向性を見極めることができるのではないでしょうか。これからも、新興市場としてのデータセンター業界の成長から目が離せません。