2025年IPO市場の急成長
2025-11-20 15:30:37
2025年第3四半期のIPO市場、信頼回復と共に急成長を遂げる背景
2025年第3四半期のIPO市場、信頼回復と共に急成長を遂げる背景
2025年第3四半期、世界のIPO(新規株式公開)市場が著しい回復を見せています。この成長の背景には主要株価指数の上昇があり、特に米国、インド、中国本土が市場の主導的役割を果たしています。
企業のファンダメンタルズや収益性に対する厳格な精査が進むなか、投資家たちは選別志向を強化しています。しかし、金融緩和の影響で、堅調な株式市場が投資意欲を押し上げる要因となっています。EYの調査によれば、2025年第3四半期の世界のIPO件数は前年同期比で19%の増加、調達額はなんと89%の大幅増を記録しました。
地域ごとのIPO活動の動向
米国市場では好調な市場環境が続いており、特にIPO価格が高騰し、取引結果も良好です。このような状況下、インドは取引件数が前四半期と比較して約3倍に、調達額は4倍近くに達するなど、踊り場を迎えています。また、中国本土や中東も堅調な成長を遂げており、欧州も規制緩和により回復の兆しを見せています。
規制の進化と市場の柔軟性
各国の証券取引所は上場手続きの簡素化や競争力の強化に向けた規制改革を進めています。投資家保護とイノベーションのバランスを保ちながら、市場における透明性を高める取り組みも見られます。この「二重のアプローチ」により資金調達の迅速化と柔軟性が実現し、市場のボラティリティを抑えることに成功しています。
プライベート・エクイティ(PE)支援のIPO増加
また、プライベート・エクイティファンドがIPOを出口戦略として再評価する動きも顕在化しています。2025年の1月から9月にかけて行われたPE支援のIPOは前年同期比で倍増しており、この傾向は特に米国や中国本土、北欧地域で顕著です。AIやデジタル変革に関連するセクターでのIPO後のパフォーマンスの良さが、PEファンドの上場意欲を高めています。
市場センチメントと未来の展望
金融緩和や企業収益の好調さ、また低ボラティリティに支えられた投資家の信頼により、IPO市場は勢いを増しています。特に、テクノロジーやデジタル変革に関連する分野での活動が目立ちます。しかし、その一方で関税問題や政治的不安定が影を落とし、市場心理には依然として懸念が漂っています。
今後のIPOを目指す企業は、戦略を多様化し外部環境に柔軟に対応することが求められます。特に、気候変動やデジタル変革、地政学的リスクに対処しつつ、持続可能なビジネスモデルを確立することが焦点となるでしょう。
日本におけるIPOの現状
EYの善方正義副センター長によると、日本でのIPO件数は前年同期より大幅に減少し、2025年通期での見通しも厳しいものとなっています。このままの状況が続けば、東京証券取引所のグロース市場におけるIPO件数は前年の半分にとどまることが予想されています。
全体的に、世界のIPO市場は回復基調にあるものの、日本市場では慎重な動きが続いているとのことです。今後のIPO活動にどういった影響が出るか、注視が必要です。