企業に蔓延する「シャドーAI」の実態とその影響とは
最近、スマートキャンプ株式会社が実施した「生成AIの利用実態調査」によって、企業内での生成AIの活用状況やそのリスクが詳細に明らかになりました。この調査により、従業員が公式に認められた導入の枠を越えて、個人の判断でAIを利用する「シャドーAI」の実態が浮き彫りになり、企業にとっての危険性が問われることとなりました。
調査の概要と主要な結果
調査は全国の企業に勤める1,365人を対象に行われ、企業における生成AIの導入状況や使用状況を把握することを目的としました。驚くことに、正式に生成AIを導入している企業は全体で28.4%に過ぎず、その中で実際に活用されているのはさらに少数です。逆に、14.4%の利用者が「会社は未導入だが、個人で無料版などを使用している」と回答しました。これは、「シャドーAI」が企業の中でどれだけ広がっているかを示す重要なデータです。
ルールが未整備の中での実用化
また、最も興味深い点は、31.9%の人々が「特にルールはなく、個人の判断に任されている」と答えたことです。業界におけるAI活用に関するルールやガイドラインが未整備状態である中で、個々の判断に依存した導入が進行しています。この状況は、生成AIの急速な普及とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れの中で顕著になっています。
特に教育、エネルギー、不動産業界では、個人利用が公式導入率を上回るという驚くべき結果も出ており、これらの業界特有の事情が影響していることがうかがえます。
利用に伴うリスクを認識しつつ
さらに、生成AIを利用する際のリスクについても言及があります。利用者が最も懸念しているリスクの一つが「機密情報や個人情報の漏洩」です。実際、34.9%の利用者がこのリスクを感じていると回答しています。それにもかかわらず、約3割の従業員が1日において2時間以上を事務作業に費やしていることがわかります。これは、業務の効率化を求めるあまり、リスクを承知しつつも生成AIの使用を続ける現場の矛盾を示しています。
コスト管理の透明性とガバナンスの欠如
さらに、驚くべきことに、生成AI利用にかかる月額費用を問われた際、「わからない」と回答した人が36.8%もいました。このことは、企業内でのコスト管理がいかに不透明であるかを証明しており、ガバナンスの欠如がセキュリティ面だけでなく、コスト管理の面でも深刻な問題を引き起こしていることを明らかにしています。
今後の展望
このように、企業における生成AIの導入状況は進展していますが、その背後には多くの問題が隠れています。従業員が「シャドーAI」に手を出す背景には、業務の効率化への強いニーズがありますが、リスク管理やルール整備が伴わない限り、企業は情報漏洩や不正利用といったリスクを抱え続けることになるでしょう。
今後は企業が生成AIの活用に関するルールやガイドラインを整備し、安全な利用を推進することが求められます。これには、教育の充実やコスト管理の透明性を高めることが必要です。この調査結果を機に、企業内での生成AI利用のあり方について再考するきっかけとしたいところです。