鉄建建設が推進する環境に優しい吹付けコンクリート
鉄建建設株式会社(以下、鉄建建設)が、東日本旅客鉄道株式会社が発注した山岳トンネル工事において、環境に配慮した新たな吹付けコンクリートを導入した。このコンクリートは、高炉セメントB種を使用しており、製造段階でのCO2排出量を抑えることに成功した。
これまでは、より温暖な地域での適用が中心だった高炉セメントB種だが、寒冷地域でもその実用性を追求し、初期強度の課題を克服。現在、寒冷環境での施工実績が求められ、高炉セメントB種を使用した吹付けコンクリートの利用拡大が期待されている。
寒冷環境での実用性確認
鉄建建設は、国土交通省の仕様に基づいた基準強度を目指して、寒冷地でも使用できるコンクリートの配合を検討した。具体的には、セメントや骨材、その他の添加剤を組み合わせ、フレッシュ性状が良好な配合を選定。また、急結剤を加えることで、寒冷環境でも強度が充分に発揮できるかどうかを確認している。
温度が20℃の場合、急結性は普通ポルトランドセメントを使用した場合と同等であり、基準を満たす強度を確保できたことが示された。
現場での施工条件は、日平均気温4℃、最低気温-4℃という厳しい環境だったが、鉄建建設は細心の注意を払って、練混ぜ水や骨材を加温し、コンクリートの練上がり温度を20℃以上に保つ管理を実施した。これにより、吹付けの付着性も良好で、目視による跳ね返り量も少ないことが確認できた。
強度発現性の結果
モルタルの圧縮強度試験結果では、材齢1日で5.36N/mm2、28日で26.0N/mm2という数値が出ており、寒冷地域でも問題なく使用できる強度が得られた。この成功によって、ごく一般的な材料からの転換によるCO2削減効果も期待されている。
一例として、標準的な吹付けコンクリートのセメント量を高炉セメントB種に変えることで、全体で約114.5 kgのCO2削減が可能となる。このトンネル工事における延長138m、内空断面積75.1m2を考えると、約260tのCO2削減につながったことが明らかになった。
今後の展望
鉄建建設は、今後もさらなる研究開発を進め、吹付けコンクリートの低炭素化を実現するとともに、持続可能な建設業界の発展に寄与していく考えだ。環境負荷の低減を図るために、更なる技術革新が続くことが期待される。鉄建建設の取り組みや成果は、今後の建設業界全体へも良い影響をもたらすことだろう。すでに実績を積んできた鉄建建設の新たな挑戦に注目が集まる。