新薬casdatifanの開発
2025-10-20 08:08:18

大鵬薬品、Arcus社と提携し新薬casdatifanの開発を加速

大鵬薬品、Arcus社と提携し新薬casdatifanの開発を加速



大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区)は、米国のバイオ製薬企業Arcus Biosciences(アーカス社)との新たな提携を発表しました。この提携により、大鵬薬品はArcus社によって開発された低分子化合物casdatifanの日本およびアジア(中国と一部地域を除く)での独占的な開発・販売の権利を取得しました。このオプション権の行使は、両社が2017年に締結した契約に基づくもので、今回で5回目の権利行使となります。

casdatifanとは何か?



casdatifanは、HIF(Hypoxia Inducible Factor)-2α阻害剤として知られ、特に淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)に対して効果が期待されています。この薬剤は、腎臓のがん細胞が酸素の不足を感じたときに起こる遺伝子の活性化を抑制することを目的としています。具体的には、通常の酸素濃度でもこのスイッチが働かず、がん化するのを防ぐことを目指します。

大鵬薬品は、本オプション権の行使に対してオプションフィーや臨床試験、承認、販売に関する各種マイルストーン達成に付随する支払いを行うとしています。また、承認後には純売上高に対するロイヤリティもArcus社に支払われます。

医療現場への影響



現在、Arcus社はcasdatifanとVEGFR標的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の併用療法についてグローバルな第Ⅲ相試験(PEAK-1試験)を実施しています。この試験は、淡明細胞型腎細胞がんの患者を対象に、casdatifanとVEGFR標的TKIの組み合わせ療法の効果を評価する重要な試験です。日本も2026年前半からこの試験に参加する予定であり、早期の結果に期待が寄せられています。

腎臓がん(ccRCC)の現状



腎臓がんは世界的に増加している疾患であり、特にccRCCは腎臓がんの中で最も一般的なタイプです。アメリカ国立がん研究所のデータによれば、年間約40万件の新たな症例が報告されており、今後も患者数の増加が予測されています。自然環境や遺伝的要因が影響する中で、このがんに対する新たな治療法の開発が急務となっているのです。

大鵬薬品とそのビジョン



大鵬薬品は「人々の健康を高め、笑顔あふれる社会づくりに貢献します」を企業理念に掲げており、がん及び免疫関連疾患に特化した研究開発を推進しています。特にがん領域では国内のリーディングカンパニーとして知られており、グローバル化も積極的に進めています。この提携によって、大鵬薬品とArcus社は新薬casdatifanをできるだけ早く患者と医療関係者に届けることに取り組んでいます。

Arcus社の取り組み



Arcus社は、がん治療に特化した新たな分子薬や併用療法の開発を行っている企業です。さまざまな疾患に対して最前線での研究を進めており、casdatifanを含む複数の治験薬を開発しています。がん患者がより長く健康に生きられる社会を目指し、科学に基づいた新たな治療法を模索しています。両社の協力により、がん治療の新たな扉が開かれることが期待されます。

大鵬薬品とArcus社のこれからの活動に注目し、次世代のがん治療の進展を楽しみに待ちましょう。

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