再春館製薬所が物流環境大賞を受賞
再春館製薬所は、長年にわたる物流改革が評価され、6月30日に開催された第26回「物流環境大賞」にて「奨励賞」を受賞しました。受賞の要因となったのは、同社が佐川急便、西久大運輸倉庫、日本貨物鉄道との4社で推進したモーダルシフトの取り組みです。
モーダルシフトとは?
モーダルシフトとは、トラックによる幹線輸送から、鉄道や船舶といった大量輸送手段に切り替えることを指します。この手法を採用することで、多くの貨物を効率的に運ぶことができ、環境負荷を大幅に低減することが期待されます。具体的には、10トントラックで運ぶ貨物を12フィートの鉄道コンテナに移行させる際、通常は3個のコンテナが必要ですが、試験的な輸送と積載方法の工夫を重ねた結果、わずか2個のコンテナでの輸送が可能となりました。
背景と挑戦
近年の物流業界は、トラックドライバー不足や労働時間の規制強化、環境負荷の増加といった問題に直面しています。そのため、再春館製薬所は、主力製品である「ドモホルンリンクル」をはじめとした製品の開発・製造から販売までの取り組みを通じて、社会的な課題解決と高品質な製品を安定的に配送できる持続可能な物流への移行が急務だと考えました。これらの問題を解決するために選んだのが、モーダルシフトによる貨物輸送です。
とはいえ、再春館製薬所にとってモーダルシフトは初めての試みであり、多くの不明点がありました。そのため、他の3社との協業を進め、専門家の知見を活かすことで新たな物流モデルの確立に取り組みます。
4社協業による新たな物流モデル
本プロジェクトでは、モーダルシフトの実現に向けて、各社がそれぞれの専門性を持ち寄りました。再春館製薬所は全体の統括と物流戦略の立案を担当し、佐川急便は全国的な輸送ネットワークの構築と調整を行い、JR貨物は鉄道輸送インフラを提供、西久大運輸倉庫は鉄道輸送と陸上輸送の連携を担当しました。このような多角的な連携によって、これまでにない新しい物流モデルが形成されました。
成果と未来への展望
この取り組みを通じて、彼らはCO₂排出量の削減や輸送品質の向上といった成果を上げることができました。具体的には、従来のトラック輸送と比較してCO₂排出量を年間78%削減することに成功し、温度管理や破損リスクの低減により、製品の品質も安定化しています。また、コスト削減効果も期待されており、長期的な収益性の向上にもつながっています。
再春館製薬所はこの成果を基に、持続可能な物流モデルを全国に展開する計画です。また、2032年に創業100周年を迎える際には「ポジティブエイジカンパニー宣言」を新たな指針として、社会に必要とされ続ける企業を目指す意志を示しています。
受賞者の声
物流管理部門長の福永幸太郎は、「この受賞は私たち一社だけでは成し得なかったものであり、協力いただいた各社の皆様と共に実現した成果です。今後も環境に配慮した持続可能な物流の実現に向けて取り組みを進めていきます」とコメントしています。
【再春館製薬所の理念】
1932年に熊本で創業した再春館製薬所は、漢方理念に根ざした製品の開発・製造を行い、自然と人との調和を目指す企業です。彼らは、製薬技術を通じて「自然・人・社会の循環」を実現することを目指しており、地域への貢献も忘れません。この理念を実現するため、今後も多岐にわたる取り組みを続けていく所存です。