早稲田大学発の新たなスタートアップ「VETA株式会社」
2025年4月30日、早稲田大学政治経済学術院の研究成果を基に、新たなスタートアップ「VETA株式会社」(以下、VETA社)が設立されました。この取り組みは、価値観の不一致に関するフリクションを解消することを目的としています。特に、今年度早稲田大学ベンチャーズ株式会社(以下、WUV)がこのスタートアップに対して約2億円の創業投資を行ったことが注目されています。
VETA社の設立背景
早稲田大学は、創立150周年を迎える2032年に向け、社会に貢献する大学へと進化することを目指しています。この目標の一環として、人文・社会科学分野に基づいたシングルスタートアップの設立を進めてきました。VETA株式会社は、早稲田大学出身の原健人氏、山本鉄平教授、日野愛郎教授によって共同設立され、これまでの理工学術院中心の研究成果を人文・社会科学分野での事業化に成功させた例となります。
VETA社は政治経済学部の知見をもとに、研究成果を知的財産として活用しつつ、価値観の不一致にまつわる社会的フリクションを解消する技術「Value Elicitation」を開発しています。これは、利用者が自分の好みや価値観を明らかにする手法であり、社会的な意思決定をサポートする新たなツールとして位置づけられています。
投資とビジョン
WUVは、VETA社に対して約2億円の資金を投じることで、同社の社会的ミッションの実現を支援することを決定しました。これにより、早稲田大学の学問の活用という理念に基づき、社会的インパクトのある事業への基盤を築くとしています。また、VETA社は今後、選挙に関するボートマッチ領域などでの展開を考えており、これは政治学的な研究成果を利用して、より良い社会解決に寄与することを目指しています。
技術的な背景
VETA社が開発した「Value Elicitation法」は、従来のコンジョイント分析手法を基にした新しいアルゴリズムです。これは、意思決定に関する複雑な要因を考慮する際に、各要素の影響を分析するために利用されます。この手法は、ユーザーに自らの選択に隠された価値観を反馈し、より良い意思決定を促すことが可能となる点が特徴です。現在、この技術は特許出願中です。
今後の展開
VETA社は、Value Elicitation法を通じた社会に対する価値提供を進めるだけでなく、不動産や人材マッチングなど、幅広い分野への応用も視野に入れています。特に、慎重な意思決定が求められる状況下での活用が期待されています。この資金調達を機に、さらなる研究と技術開発を進め、価値観の不一致による問題の解決に寄与することを目指します。
創業者の紹介
VETA社の創業者は、原健人(CEO)、山本鉄平(CSO)、日野愛郎(CKO)という3名を中心に構成されています。原氏は早稲田大学の政治経済学部を卒業後、データサイエンティストとして活躍。山本教授は因果推論に基づいた研究で著名です。日野教授は日本のボートマッチ研究の第一人者として、多くの社会実装に貢献しています。
最後に
VETA株式会社の登場は、早稲田大学からの新たな社会貢献の形を示しています。学問の知見を活用し、社会へ実装することで、人々の生活をより豊かにする取り組みがこれからも続いていくでしょう。公式ウェブサイトもぜひ確認してみてください。
VETA株式会社 公式ウェブサイト