シンガポール国立大学の革新的な新プログラム
シンガポール国立大学(NUS)は、アジア地域初のベンチャーキャピタル(VC)支援プログラム「NUS VCプログラム」を開始したことを発表しました。したがって、シンガポールの大学が行うこの取り組みは、求められている資金及び専門知識の両方を提供することを目指しています。今回のプログラムには、1億5,000万シンガポールドルが供出され、特にディープテックスタートアップへの支援を強化します。
ベンチャーキャピタル投資の現状
近年、アジア全体ではベンチャーキャピタルの投資が減少しており、特にシードやシリーズAの資金調達は難航しています。この傾向は日本にも及んでおり、2022年の投資額は2023年には大幅に減少しました。この状況を受けて、シンガポールのNUSは、テック系スタートアップが直面する問題を解決するために新しいプログラムを設立しました。
NUS VCプログラムの目的と特長
「NUS VCプログラム」は、NUSエンタープライズに所属する新進気鋭のベンチャー、とりわけ研究者が生み出した技術を商業化するための支援を強化するために設けられています。このプログラムは、NUSの「National Graduate Research Innovation Programme」から派生したスタートアップが対象です。このプログラムにより、研究成果を実市場での競争力ある事業へと変換する力が得られます。
さらに、本プログラムは資金面だけでなく、実践的な支援やネットワークへのアクセスも保障されており、2つの主な施策が実施されます。まず、NUSエンタープライズがリードする形で、優れたアーリーステージのディープテック投資を行うベンチャーキャピタルに対し、5,000万シンガポールドルの資金が供出され、次に、共同投資のために1億シンガポールドルが確保されます。これにより、スタートアップは必要とされる成長支援を獲得できます。
専門家のコメント
本プログラムの発表に際し、NUSの関係者や参加企業の人々から肯定的な反応が寄せられました。NUS学長のタン・エンチェイ教授は、アジア地域でVC活動が縮小している中で、この新たなプログラムが特に重要な推進力となると強調しました。彼によれば、研究ベースのスタートアップは特有の課題を抱えており、このプログラムがそれらを乗り越える手助けをするとのことです。
また、プログラムに参加するGranite Asiaおよび4BIO Capitalのパートナーも、NUSがアジアにおいてディープテック施策を推進する重要な拠点であるとコメント。これにより、シンガポールから新たな革新が生まれる未来が期待されています。
まとめ
NUS VCプログラムは、シンガポール国立大学が提供する新たなツールとして、アジアにおけるテックスタートアップの成長を加速させる可能性を秘めています。この大学発の取り組みが、地域のイノベーションエコシステムに与える影響は計り知れません。これからのNUSの動向に、ぜひ注目していきたいものです。