エクシムが描く愛媛県の未来
愛媛県にあるXsym株式会社(エクシム)が、愛媛県が推進する「トライアングルエヒメ2.0」のプロジェクトに採択されました。このプロジェクトは、熟練の技術をデジタル技術で再現し、次世代の製造業を支えることを目的としています。
プロジェクトの背景
戦後、愛媛県には非鉄金属や生産用機械などの多数の加工産業が集積し、職人たちの「匠の技」が蓄積されてきました。しかし、熟練した技術者の退職や派遣不足が進行しており、その技術が継承される危機に直面しています。多様で複雑な形状の製品の加工において、これまで個々の技術に頼っていた部分が多く、デジタル技術を活用する必要性が高まっています。
取り組み内容
エクシムはこの課題に対処するため、独自のアルゴリズムを用いて熟練検査員の技術を学習させるAIを開発しています。このAIは、目視検査や判断を自動化し、熟練者の技能をデジタル化します。具体的には、AIが熟練者の視点を取り入れ、品質管理や検査プロセスをより効率的に行う仕組みを確立しています。
これにより、検査を自動化し、同時に技術の伝承をも両立させることが目指されています。エクシムは、この技術を愛媛県内のさまざまな産業や地域に展開し、全国規模の共創拠点との連携を図ることで、地域の課題解決にも貢献しようとしています。
トライアングルエヒメ2.0の意義
「トライアングルエヒメ2.0」は愛媛県が掲げる新たな取り組みであり、デジタル技術を県内の事業者や自治体に実装し、地域課題の解決に繋げることを目指しています。このプロジェクトを通じて、愛媛県の産業競争力を高め、さらにデジタル人材の育成にも寄与することが期待されています。
Xsym株式会社の概要
エクシムは、大学発のスタートアップ企業として再出発し、コンピュータビジョン、シミュレーション、ロボティクス技術に特化した少数精鋭のエンジニアチームです。彼らは、「ヒトと調和したコンピュータビジョン」をコンセプトに、AIと人間が共存できる次世代の社会を創造することを目指しています。
直近では、JR東日本との協業による鉄道設備のAIによる劣化検知技術の開発や、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受けたプロジェクトなども進めています。
愛媛県におけるエクシムの挑戦は、地域の産業を次世代型のデジタル産業へと進化させる重要なステップとなるでしょう。今後の動向に期待が寄せられます。