岡山大学が挑む革新技術
国立大学法人岡山大学病院の消化器内科で活躍する佐藤亮介医員が、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の「令和7年度医療機器等研究成果展開事業チャレンジタイプ」において、画期的な研究開発課題「人工知能による胆道内視鏡画像診断システムの開発」を提案し、採択されました。このプロジェクトは、胆道がんの早期発見と正確な範囲診断に向けた新たなアプローチです。
胆道がんの課題
胆道がんは、早期発見が非常に難しく、診断のタイミングを逃すことがしばしばあります。多くの患者が厳しい状況に直面し、5年生存率も30%未満とされています。したがって、精度の高い診断が求められています。
新しいAIシステムの概要
新たに開発される「胆道特化型デュアルAI診断システム」は、AIを利用して胆道内視鏡による画像を解析し、良悪性診断および範囲診断を同時に行うことを可能にします。これは、これまでにない革新的なアプローチであり、世界初の試みとなります。このシステムにより、従来の方法では困難だったがんの広がり(表層進展)の正確な診断が期待されており、患者に対するより効果的な治療の実現が見込まれています。
研究開発の目的
この研究は、胆道がんに対する診断精度を飛躍的に向上させることを目的としています。具体的には、根治手術率の向上や、患者の生存率の改善、さらには医療費の削減につなげることを見据えています。佐藤医員は、AI技術を駆使して、これまで見逃されがちだったがんの悪性度や進展範囲を正確に評価できる新しい診断システムを構築し、患者のQOL(生活の質)向上に寄与したいと述べています。
共同開発と今後の展望
本プロジェクトは、岡山大学の松本和幸講師や内田大輔准教授、株式会社両備システムズの冨谷昌弘氏等と共同で進行しています。これにより、糖尿病予防や早期治療といった医療界のニーズに応えられるよう、より実践的な成果を目指します。
佐藤医員は、AMED採択に際し、AI技術が健康診断の現場で役立つことを願っています。このシステムのコア技術を1年間で確立し、次年度には開発実践タイプにも応募予定です。加えて、今後の医療現場での実装を見据えた開発計画が進行中です。
医療と技術の融合による未来
AIによる医療技術の発展は、患者の生存率を向上させるだけでなく、医療費の削減にも寄与する可能性があります。岡山大学の取り組みは、その先駆けとして大きな注目を集めています。この類稀な試みが、他の医療機関や研究機関へのインスピレーションを与えることを期待します。
最後に、佐藤医員は「この挑戦に対し、多くの患者さんが恩恵を受けることを願っています。」と語り、研究の成功に全力を尽くす姿勢を示しています。