日比谷公園の「音」と「にぎわい」を見える化する取り組みがついに完了
日比谷公園の独自性を引き立てる試みが、ハイラブル株式会社によって行われました。東京都豊島区に本社を構える同社は、日比谷公園内の“にぎわい”や鳥の声といった音声情報を視覚的に表現する「にぎわい可視化システム」の実証実験を1年間にわたり展開し、その成果を報告しました。このプロジェクトは、聴覚に障害のある方や鳥に詳しくない方々にとっても、公園をより楽しむための新しい体験を提供することを目指しています。
実証実験の背景
このプロジェクトは、東京都が推進する「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」の一環として実施されました。この取り組みは、あらゆる年代や性別、国籍、さらには障害の有無にかかわらず、人々が利用しやすい公園を目指して進められています。特に2025年に開催されるデフリンピックでは、多数の来園者が見込まれており、それに応じた対策が求められているのです。
ハイラブル社の提案は、都政課題の解決を目指すピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」で優勝し、これを受けて実証実験が始まりました。6月までの実証を経て、2025年から2026年の3月まで、引き続き利用可能なシステムとして提供されます。
取り組みの内容
開発された「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」は、同社が展開している屋内向けの空間会話活性度可視化技術「Bamiel」をベースにしています。このシステムの主な特徴は以下の通りです。
計測装置の設置
日比谷公園内の環境に適応した防水対応の計測装置が、公園内の草地広場と第一花壇にそれぞれ5台ずつ設置されています。これにより、公園内の音環境を常時24時間365日観測することが可能になりました。
「にぎわい」と「鳥の声」の可視化
システムは「にぎわいモード」と「鳥の声モード」の2つの視覚化モードを具備しています。「にぎわいモード」では、現在のにぎわいがヒートマップで示されるほか、2時間ごとに集計を行い、混雑している時間帯を比較する機能も搭載されています。一方、「鳥の声モード」では、AIによって日比谷公園の鳥の鳴き声を識別し、種類や場所をアイコンで表示します。
バードカレンダーの制作
また、このシステムに基づいた「バードカレンダー」が作成され、月ごとに観察しやすい鳥の情報を掲載。持ち運びやすいA5サイズのカレンダーは、観察結果を記録するためのツールとしても利用できます。
イベントの実施と今後の展開
日比谷公園にて実施した観察会では、小学生から大人まで多くの参加者が集まり、みなさんからは「また参加したい」との声が寄せられました。
実証実験は2025年の6月で終了し、その後2026年の3月までまだまだ多様なイベントの実施や、システムの機能向上が図られる予定です。
まとめ
日比谷公園の「にぎわい」を見える化する試みは、視覚的な楽しみを提供するだけでなく、多くの人々が公園をより楽しむための一助となることでしょう。今後もこの取り組みに注目が集まることは間違いありません。さらなる展開に期待が寄せられます。なお、システムの詳細については、
こちらからご覧いただけます。