転職エージェントの実態と求職者を襲う落とし穴
最近の調査によると、転職エージェントを利用した求職者の63%が、入社後にエージェントから提示された情報と異なる状況に直面する「求人詐欺まがい」の経験をしたことがあるとされています。この調査は株式会社CAREER FOCUSが実施したもので、500名の男女を対象にしたものです。
入社後ギャップの実態とは
最も深刻な問題は、エージェントから聞いていた話と現実が大きく異なる「入社後ギャップ」です。具体的には職務内容、残業時間、給与などが挙げられ、42.9%が業務内容に違和感を感じ、39.7%が残業時間や休日出勤の頻度、給与に対して不満を抱えていることが分かりました。
けれども、これは単なる個別の問題だけではありません。数多くの求職者が身体験としてその影響を受けており、根底にはエージェントの利益優先という構造的な問題が存在しています。たとえば、ある30代のIT業界従事者は、「残業は月10時間程度になると聞いていたが、実際は毎日のように2時間以上残業があった」と述べています。このような実態は少なくなく、求職者が自身のキャリアを守るためには、真実を見極める力が必要です。
圧力を感じる求職者たち
さらに調査の結果、58%の利用者がエージェントからの強い圧力を感じたと答えています。これは、キャリアプランよりもエージェント自身の利益を優先して対応されることが多いためです。たとえば、内定を受けた直後に「この求人は人気があるため、即決してください」と急かされるケースが多く、慎重に考える時間が奪われてしまいます。
ある40代の製造業の求職者は、「内定が出た後に即決を求められることがほとんどで、じっくり考える余裕がなかった」と語っています。このような状況が続くと、求人選びという本来の目的が曖昧になり、求職者が自分らしいキャリアを選択する機会を失うことになります。
悪質エージェントを見抜くために
株式会社CAREER FOCUSは、転職活動を安全に進めるためのチェックリストを提示しています。このリストでは、たとえば「今日中に決めないと求人が埋まる」という脅しや、経歴を全く理解していない質問をするエージェントを警戒することが推奨されています。
求職者は自身の状況や希望を率直に伝えることが大切ですが、エージェント側がどれだけ真摯に向き合っているかを見極めることも同じくらい重要です。求人票に記載されていない情報を隠すことがあるエージェントではなく、信頼できるパートナーを見つけることがキャリアの選択肢を広げることに繋がります。
調査結果の意義
この調査によって、転職エージェント業界が抱える問題点が明らかになったことは大きな成果です。求職者が安心してキャリアを委ねられる環境が整備されることは、今後の社会において非常に重要です。転職を考える際には、信頼できるエージェント選びをしっかりと行い、自身のキャリアを守るための努力を惜しまないことが求められます。
お問い合わせ先
詳しい調査については、株式会社CAREER FOCUSのウェブサイトをご覧ください。ご自身のキャリア選びにおいて、少しでも役立てていただければ幸いです。