慶應イノベーション・イニシアティブ、JiMEDに出資し医療技術革新を支援
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)は、近年の医療技術の進化を後押しするため、大阪大学発のスタートアップである株式会社JiMEDに対して出資を行いました。この資金調達により、JiMEDは合計約3.5億円を調達し、革新的なワイヤレス埋め込み型BMI(Brain Machine Interface)の開発を一層加速させることになります。
JiMEDは世界初のワイヤレス植込型BMI(wiBMI®)医療機器を開発しており、その技術は特に重度の神経疾患に苦しむ患者の援助を目的としています。近年、閉じ込め状態にある患者が世界中で増加傾向にあり、毎年400万人以上の新規患者が現れるとされています。これらの患者は、感覚はあるものの身体を自由に動かせないため、意思を伝える手段を持たない状況に陥っています。
JiMEDが開発するwiBMI®は、脳から発せられる信号を人工知能で解読し、患者が思考するだけで外部デバイスを操作可能にします。この技術により、患者は自立的にコミュニケーションを行い、日常生活を営むことができるようになるため、身体的制約からの解放を目指しています。さらに、頭蓋内から得られるデータを活用することで脳機能の理解を深め、新薬の開発や生体センシングデバイスの向上など、脳科学分野における研究や技術進展にも寄与します。
KIIの役割と展望
慶應イノベーション・イニシアティブは、2015年に創設され、慶應義塾大学の研究成果を基にしたスタートアップを主に支援してきました。とりわけ、医療や健康の分野においては、デジタルテクノロジーを駆使して社会課題の解決を図ることをミッションとしています。最近では、大学VC初のインパクトファンド「KII3号インパクトファンド」を設立し、金銭的なリターンに加えて、社会的・環境的なインパクトの創出を目指しています。
JiMEDへの出資は、このような社会の革新に向けた取り組みの一環であり、特に今後の医療技術の発展において重要な役割を果たすと期待されています。
JiMEDの基本情報
株式会社JiMEDは、2020年に設立され、大阪府吹田市に本社を構えています。代表は中村仁氏で、ワイヤレス体内植込型BMI/BCIの開発や製造、販売を手掛けています。加えて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構からの助成も受けており、最大2億6,500万円の支援が予定されています。これにより、JiMEDはその研究開発を推進し、医療の未来に貢献することができるでしょう。
JiMEDの公式ウェブサイトでは、さらなる詳細情報や進行中のプロジェクトについての最新情報を提供しています。
結びに
慶應イノベーション・イニシアティブがJiMEDへの出資を通じて、どのように医療技術が進化していくのか、そしてその影響が患者の生活にどのように変化をもたらすのか、今後の展開に注目が集まります。革新的な医療の可能性が広がる中、KIIのような取り組みが一層重要になることでしょう。