組織行動科学が提案する民主主義の新しい形
「制度の形だけ整えても、人は動かない」という言葉に象徴されるように、現代の社会は制度が整っているにもかかわらず、実際の行動にはつながっていない現状があります。この問題は企業だけでなく、行政や地域社会においても同様に見受けられます。
リクエスト株式会社は、そんな状況を打破しようと、新たなレポート『Meaningful Democracy(意味ある民主主義)』を発表しました。同社はこれまで980社・33万8千人の行動データを基に、「人はどんなときに意味を感じて動くのか」「信頼はどのように生まれ、巡るのか」という問いを探求してきました。
制度の形骸化の背景
現代社会では「制度があるのに、なぜ信頼できないのか?」という疑問が多くあります。それは、制度が形骸化し、ダイアログが浅くなり、信頼が育たなくなっているからです。人は制度に“合わせて動く”ことを優先するあまり、自らが“問い、意味を考える”文化が乏しくなってしまっています。
レポートでは、この状況を改善するためには「制度の形を整える」ことに留まっていてはならず、「信頼と意味を分かち合う文化を育てる視点」が必要だと説いています。これは、組織行動科学に基づく実務的なアプローチでもあり、実際に組織変革を通じて得られる成果も見込まれています。
民主主義の再定義
リクエストの提唱する「Meaningful Democracy」では、制度を「信頼の根拠」としてではなく「対話の出発点」として捉え直す必要があると述べています。つまり、制度が正しく使われることを目的とするのではなく、制度を通じて人々が正しく関わり合う文化が育まれることが重要です。
この理念は、単なる提言ではなく、私たち一人ひとりの「問い」と「ふるまい」によって育まれる営みであると強調されています。すなわち、私たちが日常生活の中で意識的に信頼を築き、その文化を育てていくことが不可欠なのです。
公共行動研究室の設立
同社は、社会全体の信頼と意味の土壌を問い直すために、「公共行動研究室®」を設立しました。これは、行政や教育、地域との連携を通じて実践を行い、信頼を育むための基盤を構築するものです。
まとめ
「意味ある民主主義」は、制度の正しさを追求するのではなく、制度を通じて関係性を築くことを重視しています。私たちが目指すべきは、ただ制度を作ることではなく、信頼のある関係を育て、それによって行動を変えていくことなのです。これからの社会に求められるのは、私たち一人ひとりの行動であり、その行動こそが意味ある民主主義の実現につながるのです。